まずは神くんに相談だ。と朝練を終えて教室へやって来た神くんを待ち伏せ(って云っても席についてるだけですけど)し、事の次第を話すとそれはもう満面の笑みが返って来た。おおう、まぶし!
「本当?嬉しいなあ」
「あ、うん、頑張りますのでよろしくお願いします」
「こちらこそよろしく」
はうっ、朝日の眩しさよりも眩しい笑みです!と神くんの笑顔にやられているバヤイではない。
それでですね、御手洗先輩にはどう云ったら騒動にならずに済みますかね?と聞いたらどんな方法でも騒動は起きると思うから諦めてと云われた。
こらこら、あきらめたらそこで試合終了ですよ!
「しょうがないよ御手洗先輩だし」
「そのワードがもはや私の中で定着しつつある」
「ははは」
まだ編入してきて1週間余りというのにかの先輩の印象たるやすさまじいものである。そうですか、神くんでさえどうしようもないと云うのなら腹をくくりましょう。これは諦めではない。覚悟である。おっ、なんか名言じゃん?!
今日も今日とて休み時間になると御手洗先輩が教室まで押し掛けてきた。さて、覚悟を決める時である。
「おっはよー!今日こそはマネージャーになってもらうからね!」
「はい」
「学校に慣れるまで待てって云ってたけどそろそろいーでしょ?アンタはバスケ部のマネージャー。決定だからね!」
「はい」
「アタシだってそろそろ我慢の限界なんだから、絶対に頷くまで今日は帰さな・・・うん?」
遅い。気づくのが遅いよ先輩!そりゃあ毎日いい返事を返さなかったからだとは思いますけど。
だからそんな信じられないものを見るような目はやめてください。頷けって云ったの先輩なんですからね。
「そ、そっかそっか!やっと決めてくれたんだ!よしよし、えらいぞ!」
「あいた、いたた、せんぱい、あたまがもげます」
我に返った先輩が嬉しそうにぐりぐりと私の頭を撫で回すのですがその力が女子とは思えない力強さです。神くんが止めてくれなかったら本気で頭がもげていたと思います。
とりあえず髪の毛はぐちゃぐちゃになりました。神くんが丁寧に直してくれてきゅんとしました。
先輩はふらふらしている私の肩に腕をまわすと、「今日からは男子バスケ部のマネージャーだからね!」とクラスの皆の前で声高に宣言し上機嫌で去って行った。
おや思ったよりも騒ぎにならなかったなと思っていたら神くんが「これからだよ」と恐ろしい発言をしました。おおこわい。
そして神くんの云う通り、何故か次の休み時間までにこのことが全校に知れ渡っており、いろんな部活の人に泣きつかれ(御手洗大魔神をどうにかしてくれって何してんだ先輩)(え?「いいだろー!うらやましいだろー!」とこれ見よがしに自慢して行くって・・・いや、考え直しはできませんすみません)、バスケ部にはお礼参りされ(御手洗大魔神をお鎮めくださりありがとうございますってなんじゃそりゃ)(え、この一週間地獄だったって・・・そうなの神くん)、当の御手洗先輩にはまた休み時間の度に押し掛けられてマネージャーとはという心得?を延々聞かされたのであった(先輩が現れる度にクモの子を散らすように去って行く人々・・・ェ)。
ぐったり。
もう帰りたい気分でいっぱいだったけど御手洗先輩が逃してくれるはずもなく、体育館へ連行されました。
ちなみに先輩は私への引き継ぎ作業の為に1週間だけマネージャーを臨時復帰するらしいです。バスケ部の皆さんの前で自己紹介をすると皆さん温かく向かえてくれてほっとしました。皆さんのためにも頑張って早く仕事を覚えたいと思います。
さてバスケ部の今の状態としては、3年生の部員は進級組と推薦組が数名残っているみたいだったけどキャプテンは既に牧さんに交代している。それってなんだかやりにくそうだなーと思ったけど、皆牧さんの実力を認めているためか練習風景はごく自然だった。牧さんステキです。
「はさっきから牧ばっかり見てるね」
「えっ、そうですか?」
やだー、見られてた!恥ずかしい!御手洗先輩はにやにやと笑って面白がっている様子。ぐぬぬ、嫌な予感。
「ああいうのがタイプなんだ?」
「そういうんじゃありません」
「いいじゃんいいじゃん。牧はおすすめだよ!あとは神かなー。あいつは見所がある!小菅も悪くないけどイマイチなー、弱いなー。やっぱ牧か神だなぁ」
だからー、ちがうんですー。単なる憧れであって恋愛的な何かじゃないんですー。そもそもあんなステキ男子校生に彼女がいないなんてあるわけな・・・あるんですか?!なんていうミステリー!
「そういうアンタだって彼氏いないんでしょ」
「そうですけど」
それとこれとは雲泥の差なんですよ。私に彼氏がいなくても別におかしくないけどあの2人にいないなんて耳を疑いますよ!仙道くんに彼女がいないと聞いたときもアンビリーバブルや!て思ったけど!あれか、バスケが恋人なのか!
ちなみに何故私に彼氏がいないと先輩が知っているのかというとこないだそういう話題をちっとばかしした為である。先輩は年上の彼氏がいるらしいがぜひともお会いしたいものである。私にしたように押して押して押しまくってゲットしたと云っていたからきっと話が合うと思う。閑話休題。
「あいつらはバスケ馬鹿だからいなくてもおかしくないけど、アンタにいない方が謎だわ」
「なんでですか」
「あれでしょ?どうせイギリスではイケメンなイングランドボーイとつき合ってたんでしょ」
「なんですかそれ」
遠距離ってレベルじゃないもんなー、アタシも遠距離は無理だし、わかるわかるーなんて云ってますけど全然わかってませんからね先輩。
まぁ彼女持ちの人が他の女子の髪の毛直してたらヤバいと思うから神くんはもしかして彼女いないのかなってちょっと予感はしてましたけど。あれね、きっと。たまたまいないっていう時期なんだわ、きっと。
「私が卒業するまでにはなんとか面白いことになってよね!」
「いやいやいや」
何故先輩を面白がらせなければいけないのですか。そもそもそれ面白がるっておかしいですよね、間違ってますよね。
と暢気に話せていたのも此処までで、その後は練習もハードになっていき、マネージャーの仕事も忙しさを極めた。
え、これ毎日やるの?しかも1週間後は1人でやらなきゃいけないの?私、もつかな・・・心配。
補足 御手洗先輩の彼氏は元海南バスケ部の森野響さん(現在大学生)ポジションはセンター。彼女は筋肉フェチだと思います。先輩動かしやすくてでばりますごめんなさい