リドルは普段マンションの管理業をしている。オーナーである私は勿論管理人室に入ることも可能なわけで、リドルが何やら作業をしている傍らでいろいろ物色なうです。
「っていうか普通に魔法書置いてるけどいいの」
「他に入ってくる人いないしいいでしょ」
そういうもんなんですかね。リドル曰く、日本は魔法界とマグル界の垣根が相当低い国らしい。魔法省も全然厳しくないんだって。国際機密保持法も適用されてるけどマグルにばれなきゃおっけーみたいなとこがあるんだって。それなのに統制も取れてるし犯罪もさほど多くないし日本人て不思議だねって云われた。確かに日本人の特性かもしれないなぁ。
「あ、これ住人のデータ?」
「そうだよ」
「全戸は埋まってないんだよね。あれ?このMってマーク何?」
「魔法族って意味」
「え」
何それそうなの?こうやって魔法族が普通にマグル界に住んでいることも日本じゃ普通なんだって。まぁそれなりに固まったりするらしいんだけど。ふーん、家族で住んでるとこは全部魔法族なんだ。
「あ、仙道くんて1人暮らしなんだ」
そういえば出身は東京で、スカウトされてこっち来たんだっけ?実は原作読んだの結構昔だから覚えてないこと多いんだよね。あ、噂をすれば帰ってきたみたいですよ。
「仙道くん」
「え、ちゃん?」
管理人室から手を振ると仙道くんはびっくりして目を丸めた。外に出て改めておかえり、と云うとなんで管理人室にいるのって聞かれる。ごもっとも。やっべ、何も考えてなかったけど、まぁ隠すことでもないしいいよね、と素直に話したらびっくりされた。
「そうなんだ・・・うわっ」
「え?」
ちらりと視線を外した仙道くんがびくっとなったので何だろうと思って振り返るとリドルが管理人室からこちらを見ていた。にこやかに。
・・・何をそんなにびくつくことが?あ、外人だから?
「会うの初めて?」
「え、うん(すげー睨まれてる・・・)」
「? リドルだよ。管理人変わるって掲示出してたけど見てないかな」
「あー、うん見てない」
「あ、日本語ぺらぺらだから安心してね」
うん、と歯切れ悪く頷いた仙道くんはよろしくお願いします、とぺこりと頭を下げてから去って行った。なんだか様子が変だったけど大丈夫かな?
「そういえば一人暮らしでまともにご飯食べてるのかな」
「・・・また変なこと考えてるでしょ」
「だってー、心配じゃんスポーツマンなのに」
「は人の栄養管理を心配する前に自分の栄養管理を心配して」
はい、ごもっとも。だって食べることに興味ないんだもーん。すみません、その笑顔怖いのでやめてください。食べてるから、ちゃんと食べてるから許してください!
そして数日後、私の心配は的中していることが発覚した。
夕方、無性にアイスが食べたくなったので近くのコンビにへ行ったところ部活帰りの仙道くんとばったり会ったのであるが、その手にはなんとコンビニ弁当が握られていたのである。おいおいおい。
「仙道くん、まさかそれ夕飯とか云わないよね」
「え、そうだけど・・・」
ちゃんはアイス?食べるものまで可愛いね〜なんてよくわからないことを云われたけどそんなことは今どうでもよろしいのです。
私は仙道くんからコンビニ弁当を奪い、元あった棚に戻した。勿論仙道くんはびっくりしていたけど有無を云わせず腕を掴んでアイスを一個多く買ってマンションへと向かった。
「え、ちゃん、どうしたの?ていうかオレの飯・・・」
「もう!コンビニ弁当なんてだめだよ!うちで一緒に食べよ!」
「え?」
え?じゃありませんよスポーツマンがそんなんじゃいけませんよ?
「いや、すげー嬉しいお誘いだけど、おうちの人に迷惑じゃない?」
「んー、大丈夫・・・だと思う」
たぶん。やべー、絶対怒られるわ。まあそれでも捨て置けないので断行しますけど。
案の定連れ帰ったら「元いたところに返してきなさい」ってめっちゃコワイ笑顔で迎えられたけど必死に頼み込んだら折れてくれた。ていうか犬とか猫扱い。仙道くんは・・・犬かなどちらかと云うと。
「え、ほんと大丈夫なの?オレすごい睨まれてるんですけど」
「大丈夫、リドルはちょっとばかり目つきが悪いだけだから・・・今だけ」
英語でやりとりをしていたので仙道くんは自分が犬扱いされていたことは知らない。
・・・あの髪型気になるし今度頭撫でてみようかな。うん、ごめん。
一緒に住んでいるのがリドルだけだと気づいたらしい仙道くんは当然のようにびっくりしていた。どういう関係なのかと聞かれたので「幼馴染です」と濁して云えばそれ以上は空気を読んで聞かないでいてくれる彼は優しいと思います。
「ちゃんて料理もできるんだ」
「うーん、まぁ手の込んだものはやらないけど」
やろうと思えばできなくもないけど面倒臭いのであまりやりません。家族と住んでた前の世界では必要に迫られない限り料理なんてしなかったし。作るくらいならめんどいから食べないって選択ばっかりしてい・・・すみませんリドルさん心を読むのやめてくれませんかすごい笑顔で見てくるのやめてもらっていいですか今はちゃんと作って食べてるじゃん?!
「あれ、ちゃんマネージャーやることにしたの?」
「え、どうして?ああ、その本ね」
仙道くんが手に取った本は「初心者でもわかる!バスケット入門」という本。勿論自分で買ったものではなく御手洗先輩に無理矢理押し付けられたものである。
事情を説明すると仙道くんはあははと笑った。
「そーだ、仙道くん好き嫌いある?」
「嫌いなものはないなー。好きなのは肉」
ですよねー。大抵の男子は肉大好きですよねー。かくいう私も肉大好きですけど。野菜も同じくらい大好きなんですけど。野菜ないと生きていけない。てわけで野菜たっぷりなんです我が家の献立は。へるしーでしょふふふ。
さて食べる人数(しかも食べ盛りの高校生男子)が増えたので料理の数も増やしたところでいっただっきまーす。仙道くんはおいしいおいしいとがつがつ食べてくれた。ふふふこんなに喜んでくれるなら作った甲斐があったってもんよ。君が食べているのを見ているだけで満腹です。
あっ、リドルさん無言で私のお皿にどんどん盛ってくのやめてくださいそれ以上食べられません視線で「見てるだけじゃなくて食え」って脅すのやめてください余計にのどを通りません。
「仙道くん、おかわり欲しかったら云ってね」
「え?いいの?」
「うん、いっぱい食べてね」
って云ったらすごくキラキラした目で見られた。早速おかわりを頼まれたので多いかなと思いつつ山盛りにして返したらめっちゃ喜ばれた。うわー、男子高校生の胃袋って宇宙・・・
「はー、ごちそうさま!」
「おそまつさまでしたー」
「全然おそまつじゃないよ。オレ感動しちゃった」
「え、そんなに?」
「うん、ホント奥さんになってほ・・・いや、いい奥さんになるねきっと、うん」
ん?今の間と何やら云い直した感じがするのは何なんだろう。え、リドルさん顔が恐くなってますけどどうしたんですか私ちゃんと食べましたよ?!
食後のデザートは外せないのでさっき買ってきたアイスを食べる。勿論仙道くんの分もありますよ。
「なんかすっかりごちそうになっちゃってゴメンね」
「なんでー?無理矢理連れてきたの私だし、いっぱい食べてくれて嬉しいし、謝ることなんてないよ?」
「ちゃんて優しいなぁ」
そうかな。単なるおせっかいってやつですが。しかも相手が仙道くんじゃなきゃやりませんが。
またいつでも食べに来てねって云ったら素直に喜んでくれた。むしろ毎日来てもいいよ。1人でご飯食べるのってさー、寂しいと思うしさぁ。皆で一緒に食べた方が楽しいじゃん?って云ったら「そんなこと云われたら甘えちゃうよ?」って笑顔つきで返ってきましたきゅきゅん。
「・・・その場合は食費徴収するから」
「うわ、初めて声掛けられた。いや、勿論です。オレめちゃくちゃ食べるし」
「ははは、気にしなくていいのに〜」
「だめだよ」
「そうだよ、そこは大切だよ」
あれ、何故そこで2人の息が合うのだ。うーん、まぁ、そうね。今からしっかりそういうのしないとね、いい大人にはなれないからね、感心感心。
というわけで仙道くんがうちにご飯を食べに来るようになりました、丸
補足 リドルは以外には滅多に話しかけません。目で殺しにかかってきます(わらえない)
仙道くんはいつもびくってなる。