今現在、喜八郎くんに抱っこされながら森の中を移動しています。



「喜八郎くんは誰と同じチームなの?」
「食満先輩のチームです」
「あ、そうなんだ・・・だいぶ離れたところにいたんだね」
「僕はずっと穴を掘ってました」



ですよねー。そんなことだろうとは思いましたよ!一体何人が犠牲になったことか。まぁ掘った本人と一緒なんだからこの先穴に落ちる心配はないよね。もうなんでもいいから早く学園に帰りたい。今度こそこのままゴールかなぁと思って安心していたんですが。



「あ、さん発見」
「え、次屋くん?!」
「おやまぁ」



なんと迷子になっていた次屋くんが目の前に現れました。君こんなところにいたんですか。仙蔵くんが物凄い形相でしたよ。と思ったら当の本人が。



「三之助!こんなところに・・・って、さん!」
「わー、すごいぞ三之助!」
「立花先輩、藤内、こんなところにいたのか」
「それはこっちの台詞だ!だが説教は後だ。喜八郎、大人しくさんを渡してもらおう」
「立花先輩、多勢に無勢なんて卑怯です」



一気に3対1になってしまい、喜八郎くんがぶーとむくれる。しかしそんなところに助っ人が現れた。同チームの時友くんだ。
あらま、2年生なのに此処まで追いついて来たの?すごいなぁ。見た目で判断しちゃいけないなー。



「綾部先輩!」
「おー、四郎兵衛・・・だけか?」
「は、はい。食満先輩は潮江先輩と取っ組み合ってますし、不破先輩は変な髪型になってしまって落ち込んでいます」
「・・・・・・」



喜八郎くんは眉を顰めたけど、ちょいちょいと時友くんを呼び寄せ何事かを耳打ちした。



「藤内、三之助、気をつけろ。喜八郎はどんなトラップを仕掛けているかわからん」
「は、はい!」
「しろべー、さんがいる限り立花先輩は宝禄火矢を使えない。思う存分やれー」
「は、はい!」



時友くんがぱっと駆け出すと3年生2人が追いかけたけど、次屋くんはお約束にも道を外れ藤内くんがそれを慌てて引き止めようと手を伸ばす。
その隙に時友くんは怪しげな縄をくんっと引っ張った。瞬間、3年生の足場がぽっかり穴を開ける。



「おおわあああ!」
「ひぎゃあああ!」
「三之助!藤内!」
「だーいせーいこーう」



え、えげつないな・・・あの穴だいぶ深いよ・・・
よくやった、とばかりに親指を立てる喜八郎くんはとても嬉しそうである。



「おのれ喜八郎」
「あ、立花先輩そこ」
「!?」
「うっそでーす」
「喜八郎おおおお!」



喜八郎くんの言葉に反応して仙蔵くんはしゅぱっと木の上に退避したが単に喜八郎くんがからかっただけだとわかると青筋を立てて追って来た。
あわわわ、美人が怒ると怖いんだよおおお!



「むっ」
「喜八郎、私を出し抜けると思ったら大間違いだぞ」
「だまされたくせに」
「黙らっしゃい!」



結局、私は仙蔵くんの腕の中に戻る事になりました。ところで仙蔵くん、3年生はあのままでいいんですか。