三郎くんと雷蔵くんが、私を抱える兵助くんと同チームの田村くん斉藤くんの前に立ちふさがっている。
5年生2人相手にこの場をどう切り抜けるんだろう。兵助くんは手が塞がっているし、田村くんは多分近接戦より遠距離のが得意っぽい。斉藤くんは編入生で1年生よりも忍者歴が短いという話だし・・・ど、どーするの兵助くん?!
「三木ヱ門、さんを頼む」
「は、はい!」
「えっ、久々知くんは?!」
「俺はあいつらをなんとかします。タカ丸さんも手伝ってください」
「ええっ、僕が?!」
兵助くんが田村くんに私を預けた。・・・って、え、大丈夫?田村くん私持てる?と心配したけど当の田村くんは平然と立っている。背中にはカノン砲と思わしき物を背負ってるというのに、見た目によらず力持ちなんだなぁ。
なんて感心しているバヤイではなかった。兵助くんが合図を出して飛び出し、斉藤くんも慌ててそれに続く。一拍後に田村くんも走り出した。
すると「ぎゃああ」と雷蔵くんと思わしき悲鳴が上がり、なんだと思ってすれ違い様に振り返って見たら彼の頭がものすごいことになっていた。
「うわっ、何アレ?!」
「ああ、タカ丸さんは元辻狩りで、ああやって一瞬で相手を変な髪型にしてしまうという特技があるんです」
「へ、へええ〜」
辻狩りってもんがなんだかよくわからないけれど、雷蔵くんの頭がすごいことになっているのはタカ丸くんの所為なんだね。
一瞬にしてっていうのもすごいけど、あの独創性もすごいと思います。兵助くんと三郎くんはまともに戦闘しているみたいで苦無がぶつかり合う音が聞こえてきた。その音がだんだんと遠ざかって行く。
「なんとか抜けられたみたいです」
「う、うん」
「それはどうかな!」
「うわっ」
ホッとしたのも束の間、ぎゅんと何かが飛んで来て田村くんは慌ててそれを避けた。その時バランスが崩れて、私は放り出されてしまう。
「ひゃああ」
「おっと!大丈夫ですか?」
「あ、勘ちゃん!」
「どーも勘ちゃんです」
放り出された私をナイスキャッチしたのは勘ちゃんだった。そして「ふははははは!」と高笑いが聞こえて、さっき飛んで来たのは戦輪だったのだと気づく。
「勘ちゃんは滝夜叉丸くんと同じチームなの?」
「はい」
「僕も居ますよ」
「伊作くん!・・・あれ、なんでそんなに泥だらけなの?」
「あ、いや、これはー・・・あはは」
「・・・穴に落ちたんだね」
「・・・うん」
本当に落ちるのが日常なんだね、君。あれ、もう一人泥だらけな子が居る。もしかして君も落ちたの?と聞くと「はい」という返事が。保健委員の川西左近くんと云うらしい。ん?確か伊作くんも保健委員だったよね。何、保健委員会は通称不運委員会と云って、不運な生徒の集まりなんだと。うわー、それは可哀相に。どん、どん!とすごい音がすると思ったら田村くんがキレて雄叫びをあげながらカノン砲をぶちかましていた。
「三木ヱ門は滝夜叉丸に任せて、僕達は学園に急ごう」
「そうですね」
「よし、左近足下に気をつけるんだぞおおおお?!」
「うわー!伊作先輩!」
「なんで?!」
一歩踏み出した伊作くんは一瞬にして姿を消した。・・・っていうか、落ちた。君ねぇ・・・後輩に気をつけろって云う前に自分のこと気をつけてくださいよ。
二度目だよね?今日二度目なんだよね?!え、四度目?!より一層マズいわ!忍者に向いてないんじゃないの?!
仕方がない、と勘ちゃんが私を下ろして穴の中の伊作くんに手を伸ばす。はらはらとその様子を伺っていた私は、背後の気配に全く気づかなかった。