ううう、寒いよー。お尻が冷えるよー。早く誰か助けにきてええええ!
冒頭からすみません。予定通り地下牢に閉じ込められました。入ってから約5分程ですが全力で今すぐ出たいです。
居心地いいわけないよね。牢屋だもんね。早く誰か助けにきてええええ!



さん」
「仙蔵くんっ」



かたっと音がして誰かが入って来たと思ったら仙蔵くんだった。ああああ!後光が見えますううう!



「お待たせしました」
「待ってたよおおお!」
「うわっ、さん?!」



牢の錠を外して中に入って来てくれた仙蔵くんに思わず抱きついてしまったけどこれは決してセクハラではないよ。
人として当然の感動故の行動だよ。うん。ちょっと慌てた仙蔵くんが可愛いとか思ってないよ。うん。



「立花先輩っ、急いでください!」
「わかっている!さん、失礼しますね」
「えっ?!」



外から誰かの声がして、仙蔵くんが私を持ち上げた。え、な、なんで姫抱っこ?!昨日からこれパターン化?!
恥ずかしいとか自分で走るとかも云えない内に仙蔵くんはすごい早さで走り出してしまう。うわっ、綾部くんの比じゃない!さすが6年生!
地下牢から脱出すると、そこには三郎くんと見知らぬ3年生の姿があった。



「三郎くん!」
さん、大丈夫でしたか」
「うん、まぁ本当に捕まってたわけじゃないからね」
「それにしても完全に美味しいとこ持ってかれたよなぁ」



三郎くんはくっそー、と拳を握って悔しがっているけども、別に美味しいとこも何もないと思うのですが。
とりあえずこの体勢については言及無しですか。そうですか。



「何を云っているか。早く館から出るぞ!ところで藤内、三之助はどうした」
「えっ、さっきまで此処に居たのに!」
「何ィ?!」



え、次屋くん?というとあの無自覚方向音痴の?それは目を離したらいけないのでは・・・ところでこのチームメンバーはどういった選出法なんですか。



「目を離すなと云っただろう!」
「す、すみませんー!」
「ほぇ?」
「はっ!しまった!」
「はーっはっは、油断したな仙蔵!」
「えっ、留三郎くん?!」



い、一体一瞬の内に何が起こったと云うのか。がくんっ、と身体が浮いたと思ったらいつの間にか私は留三郎くんに抱っこされておりました。
え、謎、ミステリー!さっきまで一緒に居た仙蔵くん達が少し遠くにいるし・・・留三郎くん、やるなぁ。
さん、と云う声に振り返れば、雷蔵くんがすぐ近くにいた。あ、2年生もいる。私の視線に気づいたのか、2年生の男の子は「時友四郎兵衛です!」と名乗ってくれた。・・・なんだこの可愛い生き物は。



さん、飛ばすのでしっかり掴まっていてください」
「へ、ほええええええ?!」



飛ばすって!速っ!ホントに速いよ留三郎くん!貴方実はハンターなんじゃ・・・あ、忍者だよね。そーだった。
いやぁ、やっぱ6年生ってすごいなぁ。あっという間に青空の下だよ。なんて感心しているバヤイではない。
結構な震動なので、留三郎くんが云う通りしっかり掴まっていなくては。というわけで失礼してぎゅっと留三郎くんの首元に掴まる。



「ッ?!」
「え?」
「今だッ、撃て田村ァ!」
「ファイアーッ!」
「えええええ?!」



何故か留三郎くんの動きが一瞬悪くなり、その瞬間を狙っていたとばかりに何かが飛んで来て辺りが一面煙で覆われた。煙いと思ったのも束の間、また浮遊感を感じたと思ったらなんと今度は兵助くんに抱っこされている状態になっていた。



「兵助くん!」
「すみません、さん。煙吸ってしまいましたか?」
「ううん、兵助くんがすぐ煙の中から出てくれたから大丈夫」



よかった、と笑う兵助くんの大変整った顔を超至近距離で見てしまった。あ、やべ、鼻からなんか出そう。
はっ、いかんいかん!女子としてそれはいかん!抑えろー!



「へ、兵助くんは1人?チームの人は?」
「もうすぐ合流しますよ」
「久々知!よくやった」
さん!」
「僕もいまーす」



あらま、此処のチームは上級生ばっかりだね。ざざっ、とどこからともなく現れたのは文次郎くん、田村くん、斉藤くんだった。さっきも思ったけどどういう基準でチーム分けされてるんだろ?え、学園長がアミダで決めた?またなんつーアバウトな。



「このまま学園まで突っ走るぞ!」
「そーはさせるかああああ!」
「ちっ!お前らは先に行け!こいつは俺が引き止める!」
「はいっ」
「おっと、そうは問屋が卸さないってね」



せ、説明しよう!まず留三郎くんが物凄い勢いで追って来て、文次郎くんがそれを迎え撃つためチームを離脱。
文次郎くんの言葉通り先を行こうとした私たちの目の前には三郎くんと雷蔵くんが立ちふさがった、という状況である。



「さ、大人しくさんを返してもらおうか」
「何を云っているんだ三郎、さんは僕が連れて行く」
「いくら雷蔵の頼みでも今回ばかりは聞けないな」



あー、立ちふさがった2人が云い合いしてるよ。あわわわわ、さっきからなんという目まぐるしさ!この先一体どうなるの?!って展開なんですけど!やっぱりこんなことに巻き込まれる私って不憫だああ!