6年生が帰ると途端に静かになった。
ハァ・・・なんという長い1日だっただろうか・・・もうくたくただよ・・・さっきの小平太くんの逆襲で力使い果たしちゃったよ・・・
また朝から強襲されたらどーしよー。やっぱり保護呪文で簡単に入って来られないようにしておこうか・・・いや、もうそんな気力すらない。いーや、寝てしまえ。とベッドに向かおうと思ったんですが。「ごめんくださーい」と外から声が。
・・・え、何、私にだよね?もー誰だよ。眠いんですけど。居留守しちゃおうかなぁと思ったけどまた同じように声が掛けられて、仕方ないので渋々入り口を開けた。



「どちら様ですか」
「鉢屋様です」
帰レ
「ひどっ!冗談ですよ!冗談!」



全くもー、三郎くんは悪ふざけするんだから。で、なんの用でしょうか。あらま、よく見れば5年生揃ってますね。



「すみません、こんな時間に」
「いいよー、中入る?」
「いいんですか?」
「立ち話もなんだしねぇ」



しょうがない。まー、5年生なら暴走する子居ないだろうしいいよ。てか6年のが落ち着きないってどーなの。



「わっ、中ってこんなに広いんですか」
「これも魔法だよな」
さんて此処に寝泊まりしてるんですか?」
「そだよー。あ、適当に座って。お茶飲む?」
「いえ、おかまいなく」



皆物珍しそうに周りをきょろきょろ見ている。それはいいんだけど、何用でいらっしゃったのですか。
そう問うと、小平太くんとの約束が気になってずっと様子を伺っていたんだという答えが返って来た。
・・・ん?ずっと伺っていたって・・・どこから?



さんと食堂で別れてから」
「・・・え?それって、伺っていた対象は」
「勿論さんですよ」
「七松先輩なんて怖くて後つけてなんかいられないですからね」
「潮江先輩も以下同文」
「え、あの、では私と1年は組のやり取りなんかは」
「見てましたよ」
「ええええ?!」



そ、それはつまりあの私の恥ずかしい告白話も聞いていたとかいう感じですか?!
っていやー!なんなのその微笑ましいものを見るような顔はー!やめてええええ!なんという羞恥プレイ!



「ぜ、絶対に他の人に云ったらダメだからね!」
「はいはい」
「鉢屋ああああ!なんなのそのニヤニヤ顔でおざなりな返事はああああ!」
「うぐっ」
さん、落ち着いて」
「これが落ち着いてなんかいられますか恥ずかしい!」
「な、さん、三郎絞まってますけど」
「絞めてんだよおおおお」
「ですよねー」
「大丈夫ですよ、僕達誰にも云いませんから」
「う、ううう、らいぞーくん・・・それでも恥ずかしいもんは恥ずかしいのお・・・」



ぱっと手を離したら三郎くんは咽せていた。ごめん、ちょっとやりすぎた。でも皆そんなに心配してないし大丈夫だよね?むしろ私のガラスのハートの方が問題なんですよ。
あまりの恥ずかしさに顔を手で覆ったら雷蔵くんがよしよし、と頭を撫でて宥めてくれたけど・・・だからああああ!それ狙ってるよね?!私の弱みに付け込んでるよね?!思わずきゅんとしてしまった自分が憎らしい!うおおおおお!穴があったら入りたい!・・・はっ、綾部くんに掘ってもらえば!っていうかその辺探せばあるのでは!?だからその可愛いものを見るような顔はやめれー!



「今後私の後つけるの禁止!」
「ええー」
「三郎くん、何が不満なのかな?ん?
「イエ、不満なんてございませんっ」
「三郎ってさんに弱いんだな」
「いや、多分さんが強者なんだと思う」



なんなのそこ!雷蔵くんに勘ちゃん!状況分析してるバヤイではないのだよ!君達も同様なのだよ!わかっているのかね?!ハチくんも兵助くんもぼけっと見ているバヤイではないよ。わかってるんかねホントに。



「もー、約束がなんなのかわかったでしょ。わかったところで、私はもう寝るからお帰りください。特に鉢屋三郎」
「ちょ、さっきから私の扱い酷くないですか?!」
「よくわからないが、自業自得なんじゃないか?多分」
「おい、多分て何だよ兵助。私が何をしたって云うんだよ」
「うーん、日頃の行いじゃない?」
「雷蔵!さんとは出逢ったばかりなんだけど!」
「やっぱあれだよ。昼間のまだ根に持ってるんだよ」
「うっそ、私謝ったよね?さん許してくれたよね?!」
「私、許すとは一言も云ってないけど」
「えっっ」
「何云ったんだよ三郎・・・」



ハチくん、聞いてくれます?この人、私の事年増って云ったんだよ?酷いよね!そりゃ君達からすれば事実かもしれないけど酷いよね!傷ついたんだから!とかちょっと芝居がかってやってみると、皆が一斉に三郎くんに白い目を向けた。あ、やばい楽しくなって来た。



「あー、それはないな三郎」
「ありえない」
「ほんっと酷いよねー」
「ちょ、勘右衛門!私年増とは云ってないだろ!お前あの場に居ただろー!」



あー、これって兵助くんも雷蔵くんも勘ちゃんも面白がってるなぁ。やっぱ日頃の行いが悪いのではないかね三郎くん。
でもさすがに半泣きになってきたし、やめてあげようかな・・・と思った矢先、なんと爆弾を落としやがったヤツが居た。



「そうだぜ三郎、いくら本当の事だからって本人に向かってそれはないだろ」
「「「「・・・・・・」」」」



・・・・・・・君、今なんつった。「いくら本当の事だからって」、とか云いやがりましたか。そうですか。
そうですねー、確かにこの時代20歳前後は年増と呼ばれるのかもしれないよ。わかってるよ。
けどね、そういう台詞こそ本人に向かって云ってんじゃねーよ。こりゃ、制裁が必要だよ。うん。そうですよね。



「竹谷八左ヱ門くん」
「え・・・えっ?!な、さん、なんで怒ってるんですか!?」
「なんで?なんでってわかんねーのかコノヤロウ。歯ァ、食いしばれや」
「ええええええ?!」
「八左ヱ門、お前マジねーわ」
「俺も、さすがにかばいきれない」
「ハチ、最低」
「ま、骨は拾ってあげるよ!」
「天ッ誅!」
「ぎゃあああああああああああ!!」



その後、動かなくなった八左ヱ門くんを雷蔵くんと三郎くんが引きずって帰って行った。
ちょ、去り際に皆して頭撫でるなああああ!恥ずかしい!