10歳ってこんなに可愛いもんだったのか、と目から鱗な状態です。
あー、可愛い。癒される。なんというマイナスイオン。やたら長い今日1日の疲れが吹き飛ぶようです。



さん!さん!」
「うんうん、なーに?」
「ねえねえさん!」
「うんうん、どしたのー?」



あかん、顔の弛みが治らない。でもー、いいよね!皆もいい笑顔だし!きっと端から見たら楽しそうに雑談しているように見えるはず。しかし正直に云おう。かれこれ30分くらい笑い合っているだけでまったく話になっていない状況が続いているのである。と云うのも、皆の会話がカオス過ぎて・・・。一歩進んだと思ったら二歩下がっているという罠的な。最早会話にすらなっていない。
ある子達は延々と料理の名前を羅列していたり(さっきまで中華だったけど今度は洋食に変わったみたい)、ある子達は延々とからくりについて語っていたり、ある子は延々と××××について話していたり。・・・お願いだから喜三太くん、その××壷を私に近づけないでっ!
ま、まー、おねえさんは君達が楽しそうで何よりなんだけどね。唯一まともな話を振ってくれるのは当然ながら庄ちゃんである。



さん、なんか皆こんな感じですみません」
「ちょっと庄左ヱ門!こんな感じってなんだよ」
「こんな感じってどんな感じ〜?」
「こーんな感じー!」
「なんだよそれ!チョーおもしろいんだけどっ!」
「・・・さん、ほんとすみません」
「大丈夫だよ!大丈夫だからそんな落ち込まないで庄左ヱ門くん」



はぁー、と大きな溜め息をつく庄ちゃんはとても10歳とは思えないよ。そんなに気を使わないんでいいだよ、と頭を撫でてあげると年相応に笑ってくれてホッとする。



「あーっ、庄左ヱ門ばっかずるい!」
さん、私も!」
「ぼくもぼくも!」
「はいはい、皆いい子だね〜」



昼間の再び。皆頭撫でられるの好きなんだねー。私とおんなじだねー、なんて。どっかで聞いた台詞だぁ。
って、10歳の子と一緒でどーすんの。いやっ、小平太くんだって嬉しそうにしてた!・・・いや、小平太くんだって15だってば。15歳と同レベルって・・・いいんだか悪いんだか。



さん?」
「どうしたんですか?」
「うん?いや実は私もねー、頭撫でられるの好きなんだけど、年甲斐もないよなぁって反省してたの」
「ええっ、さん頭撫でられるの好きなんですか?」
「は、恥ずかしいよねぇ」



思わず暴露してしまったけど、後から恥ずかしさがぶわっと来た!うわー、何を口走ったんだ私いいいいっ!
照れ隠しに笑ってごまかすと、は組の皆は頭をぶんぶんとちぎれんばかりに横に振った。え、ちょ、頭もげるんじゃない?!大丈夫?!



「そんなことないですっ!」
さん可愛いですっ!」
「ぼくさんの頭撫でてあげますっ!」
「私も!」
「ぼくも!」



え、えええ?!なんだこの展開!皆がいい子いい子と代わる代わるに頭を撫でてくれるんですけど・・・きゅん。
うわ、やばい。もたない。なんなんだこの可愛い生き物わああああ。鼻からなんか出たらどうしよー。私ついにヒソカの仲間入り?それだけはぜっっっっったいに嫌だああああ。



さん、嬉しい?」
「う、うん、嬉しいよー。ありがとー」
「いえいえ!さんもいっぱい撫でてくれたから、お礼です!」



じゅ、純粋だ・・・いかん、私が汚したらあかん!落ち着いて私!私にはそういう趣味はないんだから!ただ純粋に小さい子可愛いっていう母性だから!
ひっひっふー、あ、間違った。すーはーすーはー・・・これはこれで変態くさいな。すってー、はいてー、すってー、はいてー、あ、落ち着いた。よかった。



「じゃ、じゃあそろそろ私戻ろうかな」
「えーっ、もう行っちゃうんですか?」
「うん。皆は宿題が出てるって聞いたから、邪魔しちゃ悪いでしょ?」
「えええー!!」
「ちょっと庄ちゃん!さんに宿題が出てるって云っちゃったの?」
「うん、云ったよ」
「なんで云っちゃうんだよぉ」
「だって宿題やらないと」
「宿題なんて出てたっけ?」
「さあ」



あらまぁ、宿題が出てる事自体知らない子が複数いるけど大丈夫なのかなぁ。いや、大丈夫でない。主に土井先生の胃が。これは一肌脱がねば!



「ちゃんと宿題やらないと立派な忍者になれないよ?」
「ええー!」
「いや、待て皆!」
「どうした兵太夫」
さんは確か誠実な男がタイプだって云ってたよね」



え、何、皆もあれ聞いてたん?!しかも何故此処でその話が?!



「そ、そうか・・・!」
「授業を真面目に・・・!」
「苦手を克服・・・!」
「つまり、宿題をしなければ・・・!」
さんにいい子いい子してもらえない・・・!」



え、ちょ、どしたの皆?!顔、顔がなんかすごいことになっているよ?!
何が何やらわからないけど皆のやる気スイッチが入ったらしく、「宿題やるぞー!」と皆が一斉に自室に走り出して行ってしまった。何が何やらわかりませんが土井せんせー!あたいはやりましたよ!
ちなみに残ったこの部屋の主である庄左ヱ門くんと伊助くんは何やらいたく感動したご様子。



「皆があんなにやる気を出すなんて・・・」
さんて本当にすごい!」
「あ、ありがとう。じゃあ、私は行くね」



きらきらと尊敬の眼差しを送って来る2人に「宿題頑張ってね」と云って別れを告げ、私もテントに戻る事にした。
小平太くんとの約束にはまだ時間があるし、今のうちに寝る用意をしておこう・・・