皆となんてことはない話をしながらまったりしていると、突然すぱんっと戸が開いた。
入って来たのは三郎くんと同じ顔の(いや三郎くんが顔を借りてるんだから逆なんだろうけど)不破くんだ。
「えっ、なんでさんが此処に?」
「雷蔵、どうしたんだ?」
「あ、うん。学園長先生が、学級委員長委員会に話があるって云うから呼びに来たんだ」
「げ、何の用だろう」
「ぼく何か嫌な予感がします」
「ぼくも・・・」
あれまー、私も嫌な予感しますよ。ともかく行かないと、と学級委員長委員会の面々は学園長の庵へ向かうことになり、委員会はお開きとなった。残された私は図書委員会に戻ると云う不破くんについて行くことに。
「さんはなんで学級委員長委員会に参加していたんですか?」
「んー、流れで?」
食堂から此処までの経緯を簡単に説明すると不破くんは「あれ」と何かに気づいたように人差し指を顎に当てた。
え、今の説明でどこかひっかかるとこでもあった?
「なんで勘右衛門は名前呼びで兵助は名字で呼んでるんですか?」
「ああ、さっき学級委員長委員会の間に勘右衛門くんや三郎くんは名前で呼ぶ事になったんだ」
「そうなんですか」
じゃあ僕のことも名前で呼んで下さい、とにっこり笑う不破くんからは癒しのオーラが出ていたように思います。
あれまぁ、三郎くんとは対照的だな〜。絶対O型っぽい。三郎くんはBかな。
図書室に着くと、一番に出迎えてくれたのはきり丸くんだった。
「さん!なんで不破先輩と一緒なんスか?」
「流れで。きり丸くんも図書委員なの?」
「そうッスよー」
きり丸くんは嬉しそうに他の図書委員会のメンバーを紹介してくれた。
図書室では静かに、という万国(万時代?)共通のお約束が故大きな声では話せないけど、今は室内に図書委員以外の生徒は居ないようで皆といろんなお話をした。
なんだこの委員会は。学級委員長委員会ものんびりしてたけど、こっちはこっちでほんわかする・・・。
「もそ、もそもそもそ」
「え?小平太くんが?そんなこと云ってたの?」
「えっ、さん中在家先輩の云ってることわかるんスか?」
「うん、図書室内静かだし」
すげー、ときり丸くんや怪士丸くん、久作くんが尊敬の眼差しを送って来る。うわー、だからちっちゃい子にそういう目で見つめられると弱いんですけど。
「もそもそ、もそ」
「え?うん、いいよ。長次くんだよね」
「もそ」
長次くんは背も大きいし身体も大きいし潮江くん同様15歳にはとても見えないけど、なんというかほんわかする。あれだ、樺地くん系だ。
小平太くんとは対照的だな〜。三郎くんと雷蔵くんに続きろ組ってこういうパターン多いのかな?
「そうだ、せっかくだから本借りて行こうかな。あ、学園長の許可はちゃんと貰ってるから」
「・・・・・・どうぞ」
「ありがとー。えっと、歴史の本ってどのあたりかな」
「それならこっちです」
雷蔵くんが歴史関係の棚を案内してくれて、いくつかわかりやすいのを選んでくれた。教材でも使われている本みたいで、これならすぐ読めそう。
ありがとう、と見上げると雷蔵くんは照れたのか顔を赤くして頭をかいている。・・・何か照れさせるようなことしたかな。
「そ、そういえば、さん字が読めるんですね」
「うん」
「さんの世界でも同じ字が使われているんですか?」
「うん」
「言葉も通じるし、異界と云ってもこの世界と似ているんですね」
「そだね」
言葉が通じることを不思議に思ってくれたのは雷蔵くんが初だよ。なんかちょっと感動した。
しばらく図書委員との時間に癒された後、夕食の時間になったので皆と食堂に向かう。待ってました、まーぼー!
「さん、食堂の手伝いしてたんスよね。今日の夕飯のメニュー何でした?」
「豚の生姜焼きと天ぷらと麻婆豆腐だって云ってたよ」
「うわー、どれもおいしそうだなぁ。どれにしよう・・・」
「おばちゃんのご飯、どれも美味しいし迷っちゃうよね」
「いやさん、雷蔵先輩の迷い癖は食堂のメニューに限ったことじゃないんで」
え、そうなの?そういえば午前中もなんか迷ってたよね。雷蔵くんはうーん、うーん、と腕組みまでして真剣に悩み出している。ご飯選ぶだけでこの悩みっぷりはすごいなぁ。直感で決めちゃえばいいのに。
あ、そうだ。ちょっと聞きたかったんだけど。
「ね、久々知くんてお豆腐が好きなの?」
「え、はい。兵助は豆腐小僧という異名が付くほどの無類の豆腐好きですよ」
「豆腐小僧?」
んじゃそりゃ。なんかそういう妖怪がいたような・・・ま、まぁとにかく、無類の豆腐好きか。それならさっきの挙動不審も納得できる・・・よね。
此処じゃちょっと度が過ぎるくらいな感じでも許されちゃうもんね。むしろ豆腐が好きなくらい、他に害はないし可愛いもんだよね。綾部くんとか小平太くんとか、ちょっと他に被害が出るような嗜好じゃないからおーるおっけだよ!お豆腐、美味しいもんね!
「久々知先輩の豆腐好きがどうかしたんですか?」
「いや、さっき一緒におばちゃんの手伝いしてる時にね」
私が夕飯麻婆豆腐にしよって云った時の久々知くんの反応の話をしたら満場一致で「ああ」と納得の声が返って来た。
あ、もうこれ皆の常識なんだね。承知した。そういや勘ちゃんが「いつも」とか云ってたわ!