4人を授業に戻らせる前に昼休みの鐘が鳴ってしまい、仕方がないので皆で食堂に行く事にした。

そーいや小松田くんは何処行っちゃったのかな。探されてたらどうしよう。・・・ま、放置したのは向こうだしいっか。
学園長には手紙を送っておこう。取り出したるは小さなメモ用紙。「お昼も食堂で頂きます」としたためて杖を一振り。メモ用紙は小さな鳥になって庵の方へ飛んで行った。



「今の何ですか?」
「ん?お手紙」
「手紙?誰にですか?」
「がくえんちょー」



またいじけられたらたまらんからね。しっかし左右にびったり綾部くんと田村くんがくっついていて歩きづらいことこの上ない。
綾部くんはマイペースに引っ張って来るし、田村くんは相変わらず滝夜叉丸くんとぎゃーすかやってるし、斉藤くんは後ろで何故か指を銜えて見ているだけだし、なんなのこの図。



「・・・何をやっているんですか」
「あっ、立花くん、潮江くん」



可愛さに絆されて強く振りほどけないでいると、いいタイミングで上級生が現れた。6年い組の2人だ。綾部くんと田村くんが同時に「げ」と小さく声を上げたけど、苦手な先輩なんだろうか。6年の2人は顰めっ面でつかつかと歩み寄って来たかと思うと左右の4年2人をべりっとはがしてくれた。



「ひどいです立花先輩」
「アホ、さんが困っているだろう」
「田村・・・」
「すっ、すみません!」



むう、と先輩相手にむくれる綾部くんと完全に萎縮している田村くん。可哀相に田村くん、潮江くんにあんな形相で睨まれたら震え上がるのも無理はないよね。
あの隈が酷い顔で詰め寄られたら私だって泣きそうだ。綾部くんは・・・たぶん誰にでもあんな感じなんだろーなぁ。てことはさっきしゅんとしたのは結構レアな綾部くんだったんじゃないだろうか。

と4人を観察していると斉藤くんが、立花くんは綾部くんと同じ作法委員の委員長で、潮江くんは田村くんと同じ会計委員の委員長なのだと教えてくれた。
ふーん、いつも委員会でしごかれてるから「げ」だったのかな。私からすれば結構仲良さそうに見えるけど。



「すみませんさん、後輩がご迷惑を」
「あー、うん。大丈夫」
「これから飯か」
「そうだよ」



ならば一緒に行きましょう、と立花くんに手を取られた。「あ!」と4年生が声を上げたけど立花くんはそんな後輩を置いてさっさと食堂へ向かった。
いつの間にか隣には潮江くんが歩いているし・・・あらあ、なんだか朝のパターンと同じ感じ。
ランチはメニューが選べるようだったのでAランチ(鳥から定食)を頼み、席に着く。



さんは午前中何をなさっていたのですか?」
「えーと、小松田くんに学園内を案内してもらってたよ」
「なんで4年と一緒だったんだ?」
「あー、小松田くんが途中で『サインくださーい!』って何処か行っちゃって、そしたらあの4人に会ったんだよね」



ああ、と2人は納得したようだった。忍術学園のサイドワインダーだからなって・・・サイドワインダーって何?



「じゃあまだ学園内回り終わっていないのか」
「うん。また小松田くん探して続きお願いしようと思ってるんだけど」
「小松田さんを探さなくても、僕が案内してあげますよ」
「・・・綾部くん、君はちゃんと授業に出なさい」



遅れてやって来た4年生4人が隣のテーブルに座った。だから、そう当然のように授業をサボろうとするな綾部くん。ぶーたれた綾部くんだけど立花くんにも注意されて渋々引き下がった。立花くんに、喜八郎に懐かれましたねって微妙な顔で云われたんだけど、そうかこれは懐かれていたのか。単に授業サボりたい口実なのかと思ったけど違うのかな。
その時、小松田くんが慌てて食堂に飛び込んで来た。私の姿を見つけるとぱたぱたと駆け寄って来る。



さん!さっきは置いてっちゃってすみませんでしたぁ!」
「ホントにね」
「あああ、すみませーん」



いやー、なんか小松田くんの困った顔ってついからかいたくなっちゃうね。可愛い子程いじめたくなる心理ですよ。とりあえず本気でえぐえぐ泣き始めたので「嘘だよ」と頭を撫でてあげた。きょとん、と目を丸めた彼は次の瞬間真っ赤になる。あらぁ、さすがに頭なでなではまずかったかな。でも小松田くん可愛いからつい。



「えっと、午後に案内の続きお願いできるかな?」
「も、勿論です!じゃ、じゃあ僕もお昼食べるんでっ」



真っ赤な顔のまま小松田くんはカウンターへ駆け寄った。じゃあ、って一緒に食べればいいのに・・・



「・・・それは素なのか」
「え?何が?」
「「ハァ」」



潮江くんが謎の質問をしてきましたがよくわからなかったので首を傾げたら6年2人に溜め息をつかれました。え、何それ何の溜め息?