何を云っても綾部くんは下ろしてくれずお姫様抱っこ継続中です。あああ、恥ずかしい!唯一の救いは授業中で人が出歩いていない事だけど・・・ってゆーか綾部くん授業は。
「授業?・・・自習中なんです」
「それ自主的な自習でしょ今の間はそうでしょ」
「・・・・・・」
図星か!授業ちゃんと出なさい、と叱ったらしゅんとしてた。・・・か、可愛い。
「む」
「でええええ?!」
な、な、何事?!しゅんとしてたと思ったらいきなりなんで跳躍?!私抱えたまま跳躍とかどんな?!ほんと可愛い顔してこの子出来る子!と目が回りそうになりながら綾部くんの実力に感心していると1人の男の子が現れた。
かなり激高している様子ですが一体何があったのですか。・・・なんか予想はつくけど。
「喜八郎おおおお!お、ま、え、は!目印をつけずに蛸壺放置するなと何度云えばわかるんだ!」
「滝・・・落ちたの?」
「うるさい!」
「危ないでしょ、さんに当たったらどうするの」
「さん?と云うのは確かあの例の話の・・・む、その人か」
何故喜八郎が抱えているんだ?と覗きこんでくる少年。私や今朝の善法寺くんのように土まみれな彼は指でくるくる何かを回している。・・・戦輪?と、云う事は。
「まぁいい!初めまして!私がこの忍術学園一優秀な4年い組平滝夜叉丸です!この戦輪を扱わせれば私の右に出るものはおりません!」
「は、はぁ」
やっぱり滝夜叉丸くんかぁ!この子はアニメよく出てたよねー。なんか懐かしい。
そしてお約束にもぐだぐだうだうだ自慢話を始める滝夜叉丸くん。おおう、すごいなぁ、よくもまぁこれだけぺらぺらとしゃべれるもんだ。
と変な方向に感心していると、綾部くんが滝夜叉丸くんを放置して歩き出した。え、あれ放置しておいていいの。と思ったら案の定物凄い剣幕で追いかけて来たよ。
「アホハチロおおおお!私を無視するな!」
「さんを医務室に連れて行かなきゃいけないから滝の話に付き合ってる暇はないの」
「医務室?怪我をしているのか・・・って、もしかしてお前の穴に落ちたんじゃないか?」
「ごめいとーう」
「何がご名答だ!」
あらま、意外と滝夜叉丸くんて常識人なんだ。ぎゃーすか綾部くんに説教垂れてる姿はさながら母親のようである。てかこのやりとり走りながらやってんですけどね。つくづく感心させられますよ。試しにオーラ見てみたらやっぱり2人ともいいオーラでございました。
「ねーえ、私は大丈夫だから下ろしてほしいんだけど!」
「大丈夫そうではないですよその腫れは」
「いいから大人しくしておいていください」
13歳に諭されるとは。いや、確かにこのまま放置は出来ないけど治せるから落ち着かせて欲しいのです。お願いだから滝夜叉丸くん、この体勢のことを突っ込んで!
「そうか!喜八郎に持ち上げられているのが嫌なのですね!」
「・・・嫌なんですか」
「嫌っていうか恥ずかしいってうえええ?!」
もう何度悲鳴を上げればいいのって感じなんですが。突っ込んでくれたのはいいけどね、綾部くんが嫌だったとかそういう問題じゃないんだよ。13歳の男の子に(いやこの場合年齢は関係ないけど)お姫様抱っこされてるっていうシチュエーションが恥ずかしいんだって!だから綾部くんが落ち込むことじゃないし、滝夜叉丸くんが抱っこすればいいという話でもないの!だからお願いだから止めてえええ!
「あ!」
「これで万事解決です!」
「してない!」
滝夜叉丸くんは綾部くんの腕から私を奪った。つまり、私は今滝夜叉丸くんに抱き上げられている状態。全くもって事態は変わっていないということである。
あああ、もう誰か助けて!