小松田くんに放置されました。
歩いていたら外部の人が遠くの方を歩いていたのを発見し、「サインをもらってない!」と追って行ってしまったのである。
ええー、ぽつーんなんですけど!こんな、何処とも分からない場所に置いて行かないでください!
・・・仕方ない、ともかく外は危ないから室内に戻ろう。危ないっていうのは、あれです。落とし穴ね。善法寺くんのように落ちてしまいたくないからね。
と思っていた矢先に・・・落ちました。のおおおおおお!
「いっ、たぁ〜」
「おやまぁ」
お尻打った、と尾てい骨付近をさすっていると頭上からなんとも暢気な声が降って来た。見上げれば男の子が1人、顔を覗かせている。
「あ、君いいところに!申し訳ないんだけど助けてくれないかな」
「いいですよ」
二つ返事で了承してくれた。なんていい子!手を伸ばしてくれたのでその手に掴まる。・・・掴まったのはいいものの、腕とか細い感じだけどこれで引き上げられるのかなぁ。と思った次の瞬間。
「うええええ!」
「?」
なんという杞憂。あっさり引き上げられてしまいました。こんな華奢っぽい子の何処にあんな力が!身長だって私とあんまり変わんないのに!紫色の制服ということは5、6年生じゃないってことでその下の学年ってことでしょ。忍たまってすげー。
「あの、助けてくれてありがとう。ホント助かりました」
「まさか落ちたのが例の人だったとは思いませんでした」
誰か落ちたなぁと思って見に来たんですけど、と飄々と話す少年は何故か肩に鋤を携えている。・・・何故、鋤。いや、鋤とは土を掘り起こす為の道具ですよね。例えばこんな穴とか掘るのに使う道具ですよね。なんか、今まさに掘ってましたと云わんばかりに土がついてますが。
・・・そういえば小松田くんが忍術学園内にある落とし穴、というか塹壕のほとんどは小平太くんか、4年い組の綾部喜八郎くんとやらの仕業だとか云っていた。
「あ、あのー、もしかして、間違っていたらゴメンなんだけど君の名前は綾部くんですか」
「おやまぁ、僕のことご存知なんですか」
もしかしてもしかしなくともこいつが諸悪の根源か!さっき二つ返事でOKしてくれていい子とか思っちゃったけどそもそもの原因はコイツだったのか!
「ちょ、この穴!君が作ったんでしょ!」
「そうですよ。ターコちゃん36号です」
「さ、36?!いや、ターコちゃんて?!」
「蛸壺のターコちゃんです」
「・・・・・・」
穴に名前付けてんのか・・・さすが忍たまクオリティ。しかもこれ36個目の穴って事ですか。しかも現在進行形で着々と増えてる系ですよね。
そりゃ善法寺くんも落ちるわ。数打ちゃ当たる的なあれですわ。
「君の作ったターコちゃんの所為で満身創痍なんですけど。主にハート面で」
「はい、大成功ですね」
「コラ。可愛い顔してどんなS発言か」
「作法委員なので」
「意味わからん」
作法委員ってSに関係あるのか?確かに頭文字はSになるけども。てゆか作法委員って何。なんかつかみ所のない子だなぁ。怒る気も失せます。
「嘘ですよ」
「え?」
「怪我・・・すみません。医務室に行きましょう」
あらまぁ。いきなり殊勝になりましたね。でも満身創痍とか云っておいてなんですが実は怪我してないんですよね。だから主にハート面でって云ったのですが。
しかし深くないとは云え、いきなり穴に落ちておいて傷もないとかどんだけタフなんだ私の皮膚は。
「え、あ、いや奇跡的に傷とかないし、軽い打撲だけだから大丈夫だよ」
「・・・足」
足?と思って彼の視線を辿るように自分の足へと向ける。・・・わーお。こりゃ腫れ上がっとるがな。こんだけの腫れを気づかないとは!どんだけタフなんだ私の精神は!いや、主にハンター界でそういうの置いて来たな。しかしこういうのって気づいた瞬間に痛みがやってくるものである。おおう、これは結構な痛さで。
「そういうことなので」
「え」
何がそういうことなのか分からないうちに持ち上げられました。ひょええええ、お、お姫様抱っことか!
13歳の少年にしてもらう体勢じゃない!!踏子ちゃん持っててくださいって・・・踏子ちゃんて鋤のことかよ!
ちょ、ストップ!この体勢主にハート面で無理いいいいい!!
(どうでもいいかもしれない補足→穴に落ちてもかすり傷すらなかったのは“纏”のおかげなのですがその事に気づいていません。捻挫は防げなかったのかとか云うツッコミはなしで。)