と、まぁそういう経緯でこの世界にやって来たのは昨日の話。
あれよあれよと云う間に陽が落ち、騒ぎになると困るからと学園長の庵で学園長とヘムヘムと夕飯を食べ、就寝した。
庭の一角を借りてテントを張って生活することにしたんだけど、(学園長は非常に興味を持ったようで寝る前に招待してあげたらものすごく喜んでいた。可愛いおじいちゃんだなぁ。ヘムヘムは云わずもがな可愛い。)魔法のこと受け入れてもらえてよかったぁ。もし拒絶されそうなら記憶操作しなきゃなぁと思っていたよ。
寝慣れたベッドで寝たので寝付きもよく、ぐっすり眠れた・・・のですが。
夜中にふと目が覚めた瞬間、悲鳴を上げそうになった。なんと、見知らぬ人がじーっとこちらを見ていたのだ!
「ひにゃあ?!だ、だ、だ、誰?!」
あ、うん、悲鳴上がったわ。我ながらなんか可愛い悲鳴をあげちゃったわ。いや寝起きだったからね、勘弁してください。
しかしなんですかコレホラーですか!と泣きそうになりながら慌てて起き上がって後ずさる。
私の寝顔をガン見していた人は、ベッドの上に腕を組んでその腕に顎を乗せながら未だにこちらを凝視していた。
「お前こそ誰だ?」
「わ、私は・・・えーと、なんだろ、学園長に喚び出された哀れな女子(A)ってとこかな」
「ふーん、敵じゃないんだな」
「う、うん」
「ならいっか」
にかっと笑ってその少年(よくよく見れば此処の生徒っぽい)はベッドにあぐらを掻いて座った。
え、ちょ、土足止めてほしいんだけど!
と注意しようとしたらまた別の少年がいきなり侵入してきた。
「よくない!」
「ちょ、だから誰やねーん」
ずかずかと入って来る少年(B)は私の目の前の少年(A)に目くじらを立てて詰め寄り、いいわけあるか!と吠えた。
ええー、私無視ですか。寝てる女子の部屋に侵入しておいておまいら。
「どう見ても怪しいだろ!」
「でも敵じゃないって云ったぞ」
「鵜呑みにしてどうする!」
「でもさー、もしかしたらこの人があの例の話題の人じゃないか?」
「(例の話題?)いや、君達、落ち着きなさい」
当人蚊帳の外にほっぽってどーする。もう、しょうがないなぁ。もしもの時の為にって学園長から許可証貰っておいてよかった。(てゆーか持たされたんだけど)
「君達、これを見なさい」
「なんだ」
「学園長先生からの滞在許可証ですよ」
「何ィ?!」
「ですからね、私は怪しい人間ではないのです」
ぺらっと紙を見せると少年(B)は眉を寄せた。ふふん、どうだい。これで何も云えまい。まぁ、いきなり怪しげなテントが敷地内に設置されていれば怪しむのも仕方ないとは思うけど、よく見つけたなー。学園長の庵が近いこの辺りは夜は生徒達は近づかないって聞いたのに。明日からは保護魔法施しておこうかな。
「で、君達はどちら様ですか。此処の生徒さんのようですが」
「私は6年ろ組の七松小平太だ!」
「6年い組、潮江文次郎」
6年て15歳だっけー、威厳ありまくりですねー。特に少年(B)の潮江くんとやら。ま、んなこと云ったら景吾も手塚くんも真田くんも威厳ありまくりだからあんまり驚かないけどね!
はいはーい!と少年(A)の七松くんがテンション高く手を挙げた。・・・夜中だってのに元気だね、お姉さんそのテンションについていける自信ないね。
「さん!」
「あれ、なんで私の名前・・・」
「許可証に書いてあるぞ」
「成る程」
「この不思議な天幕はなんだ?」
「ああ、これは魔法ってやつで」
「へー、魔法が使えるのか!すごいな!」
「・・・・・・」
学園長の時もそうだったけど、つっこまないよ私は。この世界は大抵何でもありだ。そういうことにしておくんだ。
他にも七松くんは「歳は幾つだ?」とか「どこから来たんだ?」とか質問攻めして来たけど答えにくい質問もあったし眠いから今日はもう勘弁してくれと頼んだ。
「寝てるとこ悪かったなー!なはは!あ、今度この天幕じっくり見せてくれー!」
「あー、うん、昼間にね」
「約束だぞ!」
「はいはい」
「おい小平太行くぞ」
七松くんは潮江くんに襟首を掴まれてずるずると引きずられて行った。大きく手を振っていたけど・・・首締まってんじゃないかなぁアレ。あー、しかし寝起き(しかも夜中)にあのテンションはキツいよ・・・いい子みたいだけど。あ、土足でベッドに上がるなって叱るの忘れてた。
そういえば例の話題のとかなんとか云ってたけどなんのことだったのかなぁ。ま、いっか。寝よ寝よ。