露見。



さすがは世界のグラード財団、と云ったところなのだろうか。
工事範囲が広くなかったとはいえ、たった1日で工事は終了してしまった。しかもなんだか前より立派な門構えになっている。

「うーん、おそるべし」
「何がだ」
「わっ!あ、えーとカノンさん」
「カノンで構わん」
「はぁ」

いつの間にか背後にカノンが立っていてびっくりした。いきなり声をかけないでほしい・・・
彼は昨日のスーツ姿とは違い、シャツにスラックスとラフな格好だ。大変かっこよろしくて目の保養である。

「よく俺だとわかったな」
「え?」
「いや、なんでもない。ところで、工事は無事に終わったようだな」
「ええまぁ、見ての通りですね」

様子を見に来たのか。それはわざわざありがとうございます、と云ったら元はと云えば俺達の責任だからなと云われた。尤もだ。

「サガさんは?一緒じゃないの?」
「あいつは別の仕事があってな」
「ふうん」
「それと、あいつのことも呼び捨てで構わん。というか気色悪いから呼び捨てにしろ」
「・・・・・・」

それって私が気色悪いって意味じゃないよね。
仲良しなのも怖いけど、そんな毛嫌いしなくても・・・

「これ、アテ・・・総帥からだ」
「え?うわー、こんな、いいのに」

渡された紙袋の中身はお菓子のようだったけど、きっと大変高級なものなんだろう。ふわりと漂うのはチョコレートの香り。ああ、この匂い幸せ。リーマスも喜びそうだな。
いいのに、と云いながら嬉しそうな顔をしてしまった私にカノンは片方だけ口角を上げてふっと笑った。(かっこよすぎるぞこのやろー)

「総帥はお前をいたく気に入ったようだ」
「うーん、あの短時間で気に入られるようなことをした覚えはないけど」
「あのお方は特別だからな、短時間だろうがなんだろうが本質が見えるのだろう」
「本質ねぇ」

それこそますます理解しがたいけれど。と唸っていたら、ぽんと頭に手を乗せられた。
見上げれば彼は面白いとでも云いたげな表情だった。

「なんとなくわからなくもない」
「ハァ?」
「そういえばお前、魔女だったんだな」
「え?!」

急激な話題転換を疑問に感じる前に、何故その事実を彼が知っているのかという驚きでいっぱいになった。
なんで!と目を見開く私を見てカノンは意地悪気な笑みを浮かべる。

「何故こんな普通の人間界で暮らしているのかわからんが、そうならそうと工事などせんでもコレくらい直せただろう」
「だ、だってどれだけ目撃者がいるかもわからないのに一瞬で直しちゃったりしたら・・・」

しどろもどろになる私に、彼は堪え切れないとばかりに噴出した。
え、え、なんで??なんで笑うのさぁ〜。

「わかっている。総帥も承知だ」
「・・・からかったの」
「そんなつもりはなかったんだが」
「うそ!意地悪な顔してた!」
「そうか?」
「そうだよ」

むー、と頬を膨らませるとまた笑われた。なんか、ムカつく・・・

「報告せねばならないからもう帰るが、また近いうち会うことになるだろう」
「え?」

もう帰るって・・・お茶くらい飲んでいけばいいのに。でもまた近いうちに会うってどういう意味だろう。
じゃあな、と云ってさっさと去って行ってしまった彼にその真相を聞き出すことはできなかった。
そういえば2部屋契約したけど、一体誰が使うことになるんだろう・・・