クロロは何を考えているのかさっぱりわかりません。
念の修行は結構真面目に見てくれるけど3日に1回くらいは放置して出かけちゃうし、3日くらい帰って来ない時もあるし、そのくせ帰宅時に私がいないと不機嫌だったりなんかもうわけわかめ。
今日も今日とて私が夕飯の食材を買いに行っている間に帰って来て、不機嫌なオーラを撒き散らしてます。もーいろいろとめんどくさいの私なんで事前に帰る時間を連絡しておいてください!って感じなんですけど!



「ねぇクロロ」
「なんだ」
「なんで怒ってるの」
「別に、怒ってないが」



こんな感じがしばらく続きます。もう何度目って感じなので放置して夕飯を作る。こういう時のクロロは相手にするだけ無駄なのである。
黙々とご飯を作っていると、いきなり後ろからぎゅっとされた。・・・大人しく本を読んでいてくれればいいのに。



「ねぇクロロ。ご飯作ってる最中なんですけど」
「知っている」
「じゃあ離れてくれませんかね」
「断る」



断ってんのはこっちだっつーの。大の男に後ろからがっつり抱きしめられたら身動きできないのですよ。重いし暑苦しいし何がしたいのかさっぱりだし離れてほしいんですよ。
子どもか!と突っ込みたくなるけれどツッコミを入れたところで離してくれないし、物理的に押しても引いてもはがれてくれないので、仕方がないから残りの支度は魔法を使ってすることになった。クロロはその様を私の頭越しにじっと見ている。



は」
「はい?」
「やっぱり面白い」
「はいはいそうですか。それはよかった」



意味が分かりません。面白いのは魔法じゃなくて私なんですか。でもクロロはひとりでに動くフライパンやらお皿やらをじっと見つめているのですけどね。
あ、私の返事適当すぎない?と思わないでくださいね。こういうクロロのつぶやきは人の返事とか全く気にしてないつぶやきなんですよ。云うなれば独り言。
じゃあ返さなくてもいいんじゃない?とお思いでしょうが、返さなければ返さないで拗ねるんですよめんどくさい人でしょ。



「ねぇ、ご飯出来たし離れてほしいんですけど」
「断る」
「・・・・・・」



何この人。ほんと意味が分かりません。結局ソファに並んで座った状態(しかもクロロの片膝が私の背中にあるので半分だっこされているような状態)でご飯を食べる事になった。
え、何この体勢。新婚ほやほやの若夫婦もしくはあっつあつなバカップルみたいな体勢じゃないですか。決して私とクロロはそんな関係ではないですよ。それなのに何ですかこの体勢はあああああ?!お行儀悪いでしょ!じゃなくて!



「いやいやいやおかしい。おかしいよね」
「何がだ?ほら、食べないと冷めるぞ」



あーん、とニョッキを口元に宛てがわれ反射的に口を開けて食べてしまった。うん、我ながらいい出来・・・じゃなくて!



「1人で食べられるし!もうちょっと離れてほしいんだけど?!」
「断る。ほら、二口目だ」
「ちょっ、むぐっ」



拷問だ・・・これは新手のいじめだ・・・。本当に勘弁してほしい。
しかしその後もなんだかんだと云いつつ結局ほとんど食べさせてもらった。
なんかもうげっそり。早く寝たい。さすがに朝になればクロロの機嫌もよくなっているはずだしもうお風呂に入って寝てしまおうそうしよう。食べてすぐ寝たら太るとか身体によくないとか関係ねぇ。寝てしまえそれがきっと最良の選択だ。
食べ終わって放心していると漸くクロロは離れてくれて、後片付けをしてくれた。(こういう所は案外律儀だ)その間にお風呂に入らせてもらって、寝る準備を万端にする。
またくっつかれないうちに部屋に引っ込んでしまおうと思ったけどクロロはすかさず後ろからぎゅっと抱きついて来た。
マジ勘弁。



「ねぇクロロ、私寝るから部屋に戻りたいんだけど」
「そうか。じゃあ行くか」
「いやいやいや、クロロは来なくていいから」
「断る」



ちょい待ち。此処は断固こちらから断りますよ。ついて来ないでくださいよ。まさか人のベッドに押し入ろうとか思ってんじゃないでしょうね。本気でやめて!絶対寝られる気がしない!私の平穏な睡眠を邪魔しないで!しかし私の反抗は何のその、クロロは暴れる私を抱き上げそのままベッドに直行した。



「ちょ、マジで?!」
「マジだ。寝るんだろ」
「寝るから出てってほしいんですけど?!」
「断ると云っているだろ」
「大体クロロお風呂は?!」
「帰って来てすぐ入った」
「歯磨いてないでしょ!」
が風呂入っている間に磨いた」



相変わらず一歩も引く気のなさそうなクロロだが、私だって今回ばかりは引く気はない。だってこれってもしかして貞操の危機じゃないか。ただでさえセクハラ三昧し放題の相手と一緒のベッドに寝るなんてそんな危険すぎるでない?!しかしああ云えばこう云うで全く事は進展しない。



「絶対手は出さないから」
「?!」



え、いや、そんな超真面目な顔されて云われても信じられますか。信じられるわけないよね。初日に手を出さないって誓っておいて次の日からセクハラしまくりだったもんね。
無理。無理でしょ。絶対無理でしょ。



「約束だ。もし俺が約束を破ったら、出て行っていいから」
「え」



マジですか。その目はマジっぽいですね。じゃあ本当の本当に変な事しませんか。もし約束破ったらホントに出て行くんだからね!って云ったらクロロはわかったと頷いた。
・・・結局私が折れるのか。よし、こうなったらハウンド犬と一緒に寝ると思うことにしよう。そうしよう。そうすればいくらかマシだ!



「おやすみ、
「!!」



え、キスされたんですけど。これは変なことの部類に入るんじゃないですかね。そりゃ手は出されてないしキスって云っても頭にちゅって軽くだけどぉ!そりゃいつも何かとちゅーされたりするけどベッドの中ってなんか違うよね!余計恥ずかしいというか!とかぐるぐる考えている内に怒るタイミングを逃してしまった。クロロはもう完全に寝る体勢だし。もういいよ・・・ハウンド犬に舐められたと思って忘れるよ!わー、私も随分図太くなったもんだ。いやいやこれくらい図太くならないとクロロとの生活なんてできないんだよ!



?」
「え、いや、なんでもない。おやすみ」



図太くなったと云っても向き合って寝るなんて言語道断なのでクロロに背中を向けて布団に潜り込む。予想通りすごく苦労したけどなんとか寝られた。てゆーかクロロが先に寝ちゃって1人で緊張してるのがバカバカしくなって寝られたんだけどね!ちくしょー。

え、翌日どうしたかって?それは・・・想像にお任せすることにします。とりあえずクロロの機嫌はすこぶるよかったですよ。
ハハハ・・・