雨の日の午後、リビングのソファでまどろんでいたら隣で本を読んでいたクロロが唐突に「いい事を思いついた」と云って笑った。とても嫌な予感がした。

え、ちょ、何なんですか、今なんかありえない音した!なんですかこの湯気みたいなものは!私の身体から迸っているような気がするのは気のせいですか!これってもしやオーラとか云うものじゃないんですか?!え、ほんと久々になんでこんなことになってしまったのさ!



「やはり精孔は開いていなかったのか。興味深いな」
「いや何暢気に観察してるんですかあなた」



顎に手を当てて1人で何かを納得しているようですがそれよりもこの状況を説明してください。いや先にどうしたらいいか教えてください。このままじゃやばいんですよね?!
クロロは悪い悪い、と云いながら大して悪びれた様子もなく淡々と指示を出して来た。ちょっと、少しは悪びれろ。



「まず立って」
「う、うん」
「力抜いて、目を閉じて。流れ出ているオーラを身体に留めるよう念じろ。それが出来たら身体中にオーラを巡らせるようイメージする。そうだ、上手いじゃないか」



あれ、なんかクロロが笑ってる。っていうか出来てるんですか私。それってすごいんじゃなかったっけ。1000万人に1人とかそんなレベルなんじゃなかったっけ。
わーお。まさかそんな才能が私にあったとは。でもね、正直ふらふらなんですけど。え、そのまま自分の身体の周りにオーラがある感覚を忘れるなって?そんなこと云われても既に意識が朦朧としてきたんですけど。



「おっと」
「くろろ?」



なんだかクロロの顔が近いけど、今の状況がどうなってるかわかりません。制御出来たとはいえ垂れ流しにし過ぎたか、と何やらクロロは苦笑しておりますが、よくわかりません。
そのまま意識はブラックアウト。とりあえず一言云いたい。



「・・・クロロのばか」
「悪かったよ」



そう云いつつもやっぱりクロロは悪びれもなく笑っていました。こんちくしょー。
意識を失ってから1時間ほど眠っていたようです。ベッドに寝かされているので、クロロが運んでくれたんでしょう。
で。ですよお兄さん。きちんと説明してもらいましょうか。ん?動機の言語化は好きじゃない?好きじゃなくてもしてくださいよ。今この場に関してはきっちりしてくださいよ!



のオーラが落ち着くと前に云ったな」
「云ったね」
「だがは念を覚えていなかったし、実際オーラも微弱にしか流れていなかった」
「そのようですね」
「だが俺はに触れるとオーラのようなものを感じたし、落ち着くと感じた。ずっと不思議だったんだ」



その正体は何なのか。そりゃ確かに私も不思議に思っていましたけれどね、だからってそんな念を起こしてみればわかるかもなんてあぶねー事思いつきませんし思いついたとしてもやりたいと思わないし!てかやるならやるで事前に承認を得ろっちゅー話やねんけど!絶対ノーって云ってたけど!でも絶対やられていただろうけど!結局こういう結果になっていたのだろうけど!心の準備くらいさせてくれ!



「で、結論は出たの」
「ああ、おそらくあれは魔力とかいうものだったんだろう」
「そうですか」



クロロは疑問が解決してスッキリ☆って顔してますけどね、私はそんな疑問を解消するためだけに死にそうな目にあったのかとげっそりですよ。
あ、ダメだまたブラックアウトしそうだ。涙まで出て来たわぁ。



、起きられるか?」
「まだくらくらする」
「ならもう少し寝ていろ。夕飯できたら起こしてやるから」
「わかったー、ありがとー」



クロロはくしゃっと一度私の頭を撫でて部屋を出て行こうとした。が、ドアを開けたところで振り返り、とてつもない爆弾発言をかましてくれやがった。



「あ、そうだ」
「え?」
「明日から修行だぞ」
「は?」



修行?なんの?え、まさか念の修行とか云わないよね?と引きつった顔を向けると、それはいい笑顔で返されました。
勿論、念の修行だ。当たり前だろう?なんて。

がっでえええええええむ!!
やっぱりハンター界は過酷だよ!