何故このようなことになってしまったのか、part2。
一度はね、穏便に別れたんですよ。そらあ冷やっとする場面はありましたよ。
朝になってはっきりと意識を取り戻した彼に「どうやって怪我を治したのか」とか「どうして俺を助けたんだ」とか威圧的に聞かれて、怖い思いもしましたよ。
でも最終的には警戒を解いてくれたし、なんと笑顔付きの「助けてくれてありがとう」なんて言葉まで頂いてしまっていろんな意味で戦々恐々でしたが、彼はやることがあるからと云ってさようならと去って行ったんですよ。
はぁ、本当に、どうなることかと思ったけど、あっさり離別できてよかったよ。もうのっけからピンチなのは勘弁願いたいよ。本気で命の危機を感じたよ。でもそれも最早杞憂に終わったのだ。よかったよかった。ふい〜
なんて一仕事終えたかのような息をついて、疲れを癒そうと紅茶を淹れたんですよ。
にしてもこれからどうするかなぁ。ハンター界とか過酷だよなぁ。今までは誰かしら状況を説明してくれたり方向性を導いてくれたりしたけど今回ないしなぁ。とりあえずは王道にハンター試験を受けるべきかな。やだなぁ面倒臭い。てゆーか限りなく危険だよね。うん、やめよう。命がいくらあっても足りない。
なんてことを考えながら紅茶を口に含んだその瞬間でしたよ。
ばさっとテントの入り口の幕が空を舞い、つい先ほど出て行ったばかりのあの人が超笑顔で仁王立ちしていたんですよ。
あまりにびっくりして含んだばかりの紅茶を吹いてしまった。次いで盛大にむせ返った。
ごほっげほっごほげほげほ。いかん、気管支に入った!
え、なんで戻って来てんですかあなた。さよならって云ったじゃん!もう2度とこれっきり会わないように祈ったじゃん!!てゆーか何ですかその激笑顔逆に怖いんですけど!!
なんて云えるはずもなく、私は苦しい胸を抑えながら口を開いた。
「あ、あの、く、クロロさん?」
「気が変わった」
「へ、へ?」
「洗いざらい、話してもらおうか」
ひいいいいいいいいいいいいい!!笑顔が怖いいいいいいいいいいいい!!
ずかずかと大股で中に入って来たクロロさんは、当たり前のように私の前のソファに腰を下ろした。
内心冷や汗だらだらです。蛇に睨まれた蛙状態です。全速力でこの場から逃げ去りたいですが、そんなことできるはずもない。あっという間に追いつかれて引き戻される事請け合いである。
私は腹を括って、会話を続けることにした。
「あ、あの、洗いざらい話す・・・とは一体何のことを」
「さっき、内緒とはぐらかしたことについてだ」
内緒、とはぐらかしたこと。というのは何を隠そう「どうやって怪我を治したのか」という質問の答えだ。
え、だって魔法ですなんてバカ正直に応えられるはずもないですし、内緒という他ないんですって。
おそらく彼は何らかの念能力だと解釈したはずだ。
私がしっかり答えなかったのは、私自身がこの能力についてよくわかっておらず、念能力については知らないからだと思ったはず。だから一度はそれ以上突っ込まなかったんだろうと思う。
一度はそう納得したことであろうはずなのに、またそれを蒸し返して来るなんて・・・と思ってはたと気づく。
・・・相手が去ったことに満足してというか安心してというか気が抜けてというかとにかくすっぽり忘れていたけれども、このテントも魔法のテントなわけであって、つまりは外側と内側にありえない差があるわけで、こんな超怪しいものを当たり前のように何も知らないで使っているはずはなかろうと疑惑を持って彼は戻って来たに違いないのだ。
うわああああああああああん!!私のばかあああああああああああ!!