「、か?」
「え?あ、松田さん!」
景吾が出版社主催の謎解きイベントに招待してくれるって言うので会場であるホテルに向かうと警備していた松田さんとばったり遭遇した。
うおおー!松田さんの制服姿ー!想像以上にかっこよすぎるんですけどくそかっこいいんですけど鼻血出たらどうしてくれよう。これだからイケメン×制服は!正義!
「奇遇だな。もしかして謎解きのイベント参加するのか」
「はい。松田さんはお仕事ですね。制服姿初めて見ました。かっこいい!」
「あ?そうか?あー、なんだ、お前もそんな格好してると…いつにも増して大人っぽいな。一瞬わかんなかった」
やだー、ちょっと照れ気味な松田さん可愛いんですけど。こっちまで照れるんですけど。言い慣れてない感バリバリででも褒めて(?)くれるとかくっそ萌えるんですけどごちそうさまです。
ていうか警察が警備しているってそんなにすごいイベントだったの?
「知らないで来たのか?」
「友達に誘われただけで詳しくは知らなくて」
「へぇ、随分すごい友達なんだな。VIPばっかりだって聞いてるぞ」
あはは、まぁ跡部家ご長男の伝ですからね。本人はイギリスにいるから来ないけど。お前らで楽しんで来いって言われて侑士たちとホテル前で待ち合わせだから近くにいると思うんだけどな〜。あ、いたいた。侑士とがっくんとジロちゃんだ。宍戸は謎解き興味ねぇって不参加。宍戸さんが行かないならって長太郎も不参加。通常運転である。
みんなは私が警察官と一緒なのに少し驚いていた。「なんかしたのか?」って失礼な。知り合いのお兄さんなだけですー。
「相変わらず交友関係広いなぁ」
「てっきり警察に厄介になってるのかと思ったぜ」
「がっくんじゃあるまいし、ない」
「はぁ?!俺じゃあるまいしってなんだよ!」
「んー、お腹すいた早く入ろう〜」
茶化してくるがっくんをいじり返して、急かすジロちゃんの言葉に頷く。イベントはビュッフェ付きで立食しながら進行するらしい。ジロちゃんは謎解きよりも食事を目当てに来ているのである。がっくんも以下同文。
「じゃあ松田さん、また。お仕事がんばってください」
「おー、楽しんで来いよ」
ぽん、と髪のセットが崩れないように軽く頭に手を置かれ笑顔で見送られた。はぁー、かっこいいかよ。腕まくりしてるのが最高オブ最高です。もう少し松田さんの制服姿拝んでおきたかったかも。
「随分男前なお巡りさんやなぁ」
「でしょ。あんなんずるいよね」
「なんで知り合いなんだ?」
「神社にたまにお参りに来るんだよ。実家が近くなんだって」
「なるほどなぁ」
他愛のない話をしながら地下の大宴会場へと向かい、受付を済ませる。イベント開始前だけど食事はお好きにどうぞと言われてジロちゃんとがっくんは目を輝かせた。ささーっと料理の並ぶテーブルへ向かう2人に苦笑しながら侑士と後から追う。さすがVIPばかりが集まるイベントらしく、料理も大層豪華だった。暫く美味しい料理に舌鼓を打っていると程なくしてイベントが始まった。
工藤優作先生監修の謎解きイベントだ。期待値は高い。
ドキドキしてきたねー、と言いながら配られる紙に目を通す。司会者がイベントの概要を説明してスタートを切ると照明が落ちた。ドキッとして思わず隣の侑士の腕を掴んだけどすぐにパッと照明が会場の中央を照らし出す。
そこには仮面をつけたシルクハットにマント姿の男が1人立っていた。
「ナイトバロンだ!」と誰かが叫んだ。フフフフフ、と少し不気味な笑いが場内に響く。スピーカーから聞こえるからきっと演出なんだろうな。客が怪人に集中していると司会者が「本日のスペシャルゲストをご紹介します!」と声高に叫んだ。それに合わせて仮面を取るナイトバロン。その正体はなんと工藤優作先生ご本人であった!
「え、本当に工藤先生?!うわ、すごい!ダンディ!かっこいい!!」
「誰だそれ」
「えっ」
「おいおい岳人それほんまに言うてるん?『闇の男爵』シリーズ書いてる作家先生や。この謎解きイベントも監修しとるんやで。書いてあったやろ?」
「そうだっけ?」
「有名人だ〜!スッゲー!」
がっくん君は一体何を見ていたのだね。もっきゅもっきゅローストビーフかじってる場合じゃないよ?いや、美味しかったけどローストビーフ。ジロちゃんもかっこE〜!とか言ってるけど口の中いっぱい入ってるしどう考えても食い気の方が勝ってますね。まぁいいんだけど。
ちなみに侑士は私以上に『闇の男爵』オタクなので「信じられへん」と大変嘆いておった。まぁ気持ちはわかる。
スペシャルサプライズゲストの登場に会場内の興奮が高まる中、工藤先生の挨拶を皮切りに遂に謎解きタイムが始まったのである。ああ、後で先生とお話できないかなぁ。
だがしかし、どうしてこうなった。
イベントが開始してから約30分後、事件は起こった。
主催側の人間が死体で発見されたのである。
おーまいごっど。
場内が騒然となる中、すぐに警察が入って来た。そうだ、警察が警備していたんだった。
事件である可能性が高いと誰も外に出られなかった。死体を見たわけではないからどう死んでいたのか知らないけど、事件とかマジか。ひょええ。
「えらいことになったな」
「どどどどどどうする?!」
「どっどどどっどうしよう!?」
「とりあえず落ち着こう?警察もいるんだし、すぐに終わるよ」
「ちゃんたら相変わらず冷静やなぁ」
みんな顔が真っ青だ。そりゃそうだよね、人が近くで死んでるなんてシチュエーション初めてだろう。悲しいかな私は他の世界での体験の所為で動じなくなってしまっているけど…涙
侑士は某落第忍者のセリフをもじれるくらいには落ち着いているようだ。さすがポーカーフェイスファイター。死体が目の前にないだけマシか。
それからどんどん慌ただしくなり、私たちは別室へと移されることになった。身元確認をされて、未成年だから保護者を呼ぶという話になってまた待機を命じられた。
「!大丈夫か?!」
「え、松田さん!」
暫くすると松田さんが急いだ様子で入って来た。私の顔を見てホッとしたような顔をする。「すぐ来てやれなくて悪い」って言われたけどお仕事なんだから持ち場離れたりできなかったんだろう。むしろよく来てくれたな。
え?跡部家の使用人さんを連れてきてくれたんですか。あああ、使用人さんそんな平身低頭で謝らないでください!あなたの所為でこんなことになったわけではないのですからー!
使用人さんに土下座されんばかりに謝られているといつの間にか松田さんは人数分の水を用意してくれた。出来る男かよ。
「大丈夫か、気分悪くなってないか」
「なんとか」
「保護者が来たらすぐ帰れるからな」
「ありがとうございます」
「でもええんですか?殺人やったんですよね。会場内の全員が容疑者とちゃうん?」
侑士がもっともなことを言った。まぁ未成年だしもう時間も遅いし身元もはっきりしてるから帰ってもいいってことかもしれないけど。しかし松田さんの返答は思ってもないものだった。
「まだここだけの話だが、犯人特定されたんだよ」
「マジで?!」
「ああ、工藤優作…さんがいただろ。あの人推理小説書くだけじゃなくて自身も名推理の名探偵なんだと。あの人が犯人をみつけて、本人も自白したそうだ」
「マジマジ?スッゲー!」
「え?名探偵?工藤、先生が?」
「なんや知らんかったん?結構有名な話やで」
マジか。
マジか。(2回目)
え?名探偵で工藤でって、え?
「ま、そんなわけでもうすぐ全員解散だ」
「犯人みつかってよかったね〜」
「だなぁ。もし逃げられでもしてたら気になって眠れなかったぜ」
「しっかしなんでこないぎょうさん人がおるところで殺したんやろなぁ」
犯人がわかったと知ってみんなほっとしたようだ。だがしかしワイワイ話し始めるみんなの輪に入れない。
いやいやまさかそんな。たまたまだよね。たまたま名前が一緒なだけだよね。工藤ってそんなに珍しい名前でもないしさ。
あれれ〜?でも彼のお父さんって小説家だったような気がしないでもないぞぅ〜。お母さんは元女優さんだったって気もしないでもないかもしれないぞぅ〜。昔の記憶過ぎてうろ覚えもうろ覚えだけどそんな気がしてきちゃったりなんだりしてるぞぅ〜。
「どうした、やっぱり具合悪いか」
「う、ううん。ちょっと疲れちゃっただけです」
「そうだろうな。ほら、とにかく水分取っとけ」
「あ、はい。松田さんありがとう…」
わざわざペットボトルのふたを開けて差し出してくれる松田さん。イケメンかよ。優しさが身に沁みます。水飲んで落ち着こう。
よし、まずは確認だ。『闇の男爵』オタクの侑士くんに質問です。工藤優作先生の奥さんて女優さんでしたか。
「せやで。10数年前に工藤先生と結婚して女優引退したんやけど、主要な賞を総ナメ受賞したっちゅう伝説の人や」
「確か藤峰有希子だろ。俺が小学生の頃すげぇ人気だったぜ」
「へ、へぇ〜。子どもはいるんだっけ?」
「おるで。それもなんと氷帝生や」
「マジか」
「おー。初等部におるはずやで。確か新一くんゆうたな」
マジか。
マジかぁぁぁああぁぁ。(n回目)
この世界まさかコナン世界も混じってるとか〜そりゃ事件事故その他物騒なもろもろ多いはずだわ〜コナンぽい地名まったく出てこないから盲点だったわ〜漫画ないな〜と思ったこともあったけどまさか混じってるとかぁ〜。
え?黒の組織って存在するの?新一くんまだ小学生っぽいけど数年後にまた小学生やっちゃう感じなの?ていうか私コナン原作全然覚えてないよ劇場版だと蘭ちゃんが記憶無くしちゃうやつ?あたりまでしか見てないよ変な事件に巻き込まれたらどうしようマジで命の危機を感じる。いやいや一番危ないのって実は警察の松田さんとか萩原さんじゃね?爆発に巻き込まれたりしないでね心配!!!!
「侑士なんでそんなことまで知ってんだよストーカーかよ」
「失礼なやっちゃな。割と有名やで」
「オタクの間でだけでしょ〜」
「親が有名人て大変だな」
いやマジで情報通すぎるわ侑士さん。まだまだ原作開始まで時間があるようだけどこれはいろいろ警戒しなくてはいけないやつなのでは。
そんなこんなで悶々としている間にみんなは親御さんがいらっしゃって先に帰って行った。
最後に出て行った侑士と入れ違いに我が保護者役である長曽祢さんがやって来た。
「そねさん!」
「おう、大丈夫か」
「うん。迎えに来てくれてありがとう」
「ああ」
てててっとそねさんに駆け寄るとよしよしと頭を撫でられた。はー、なんかやっとひと心地。
松田さんはそねさんを見て少しびっくりしていた。叔父です、と紹介すると納得してくれたようだ。随分若い人が来たんで驚いたらしい。
「神社でたまに見かけるな、あんた」
「え?ああ、そういえば俺も見たことがあるような…?」
「そねさん、お巡りさんが2人参拝に来るって話したじゃん?そのひとりが松田さんだよ」
そねさんは松田さんのことを見かけたことがあるらしい。逆に松田さんはよく覚えてないようだ。というのもたぶん、付喪神のみんなは人の記憶にあまり残らないようになっているからだろう。どういう仕組みなんだか術なんだかわからないけど、対面したとしてもぼんやりとした記憶だけが残り、次に会っても『そういえばこんな人いたな〜』ってぐらいにしか思わないんだって。薬研曰く「景色と同化しているようなもんだ」って。便利だね!
「もう帰っていいんだろう?」
「あ、ああ。気をつけてな、」
「はい。松田さんも」
いやマジで。次会う時までお元気で!!切実に!!
そねさんに手を引かれながら松田さんの無事を切に願った。
そしてもう事件に巻き込まれたくはないと密かに祈った。
後日、参拝に来た松田さんから連絡先をゲットし、週に一度は生存確認のため必ず連絡することにした。
え?萩原さん?彼とはとっくに連絡先交換してるし向こうから連絡くるからいいのである。
装備:フォーマルなワンピース(大人度 50 up)▼
氷帝学園高等部2年生徒会所属。まさか工藤優作先生がコナンくんのパパとか想定外なんですけど。今まで全然気づかなかったんですけど。え、この先大丈夫かな?みんなお願いだから死なないでくれ。後で知ったけど今回のイベント主催は出版社だったけど出資は鈴木財閥だったマジかよ。どうりで事件が起きるはずだよガクブル。
コナン原作はほっっとんど覚えてないしだいぶ初期しか知らない。
松田陣平 装備:制服(男前度 50 up)▼
通常任務でイベントの警備をしていた。ドレスコードでおめかししたの姿に不覚にもドキッとしてしまった24歳。あいつ確か今高2か。いや、まだ犯罪だおかしなこと考えるな俺。叔父さんが迫力あり過ぎてちょっとびびった。何あの長身マッチョ。の親戚だけあって美形だったけど…あれ、顔が思い出せねぇ??
工藤優作 装備:ナイトバロン(うさんくさ度 80 up)▼
有名推理小説家にして名探偵。都内高級一流ホテル全体を使った大がかりな謎解きイベントを監修して超自信作になったからめっちゃテンション高くコスプレまでして登場したのに途中で中止になってしまいぐぬぬとなった。いつかリベンジしてやるー!
長曽祢叔父さん▼
神社にいる7振りの中で一番年下なのに外見の所為で対外的には一番年上になっている。学校行事でも叔父としての保護者してる。
忍足(モテる方のオタク)侑士▼
氷帝学園高等部2年テニス部所属。高校生になってさらにうさんくさ度がupした。がたまに引くくらいの情報通。ナイトバロンのコスプレ俺もしたい。うさんくさ度が上がるだけだからやめておけと全員に止められた解せぬ。
向日(からあげがなくて地味に落ち込んだ)岳人▼
氷帝学園高等部2年テニス部所属。小柄なのにどこにそれだけ入るん?とが目を瞠った。いっぱい食べるけど背が伸びないのが悩み。くそくそほっとけ!涙
芥川(ラム肉めっちゃ美味しかった)慈郎▼
氷帝学園高等部2年テニス部所属。おいCご飯を前に眠気は消え失せた。小説は知らないけど漫画の『闇の男爵』(コミカライズ)は読んだよ!ナイトバロンちょーかっこE!
跡部(イギリスで白馬と仲よし)景吾▼
現在留学中。今回の件を聞いて詫びにと後日高級菓子を使用人に届けさせた。相変わらず俺様だけど相変わらず面倒見はいい。ところでの正装ちゃんと写真撮っといただろうな、あーん?
今回出番のなかった萩原研二▼
後日松田にの正装が可愛かったと聞いて泣いた。俺もそっちの担当がよかった…
連絡先はちゃっかりとっくに交換済み。え、むしろお前聞いてなかったのかよ?
現在爆弾と格闘中。死ぬなよ。
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