予定というのは未定であって変更があるやもしれないから予定なのです。ということで一期さんとの邂逅に力を使い果たした私は当初の予定を変更して短刀ちゃんたちに先に会うことにしたのです。だって、予定通り行くと次は三日月さんで…うん、もう、心臓への負担が大きすぎるよね。まずは癒しモトム。
「よお大将。知ってるとは思うが俺っち薬研藤四郎だ」
「わ~薬研~会いたかったよ~」
「おっと、いきなり熱烈な出迎えだな」
「あ、ごめんね嫌だった?」
薬研は思っていた以上に男前だったけど、前が前だったので癒し~とハグでお出迎えしたら引かれてしまったかしら。と思ったけど違ったらしい。ぱっと体を離したら薬研はニッと笑って、今度は自分から私を抱き寄せた。
「いーや、嬉しい歓迎だ。俺も大将に会いたかったぜ」
うっわー。身長が近いから薬研の声がほんとに耳元から聞こえるんですよ。威力はんぱない。早くも柄まで通された気分ですこれ。
「ん?どうした大将」
「あー、うん、薬研かっこいいなって」
「そうか?嬉しいことばかり言ってくれるな。大将もいい女だぜ?」
内心悶えていたところにさらに爆弾を落とされました。はあああああ。さすが薬研です。期待を裏切らない男前っぷりです。でもドキドキするけど薬研に言われると素直に嬉しいというか。
「ふふっ、ありがとう」
「おう。なるほどなぁ」
「え?」
「いち兄がやけにご機嫌だったんでな。でも、納得だ」
「んん?」
話の流れがよくわからなくて首を捻る私に薬研は笑って、私を兄同様に椅子に座らせた。
「そういえば三日月の旦那が拗ねていたぞ」
「え?」
「次は俺の番ではなかったのか、ってな」
「あー、うん、ちょっと心の準備に時間が必要になりまして」
あなたのお兄様の所為で動悸息切れが激しくなりましてね。その流れで三日月さんなんて今度こそ心臓止まるかもしれないから落ち着かせる時間が欲しくなったのです。
「心の準備なあ。ま、三日月の旦那には悪いが、俺は大将に早く会えて嬉しかったぜ」
「薬研~」
「おう。なんだなんだ、大将はあまえただなぁ。これじゃあ弟たちと変わらないぜ」
うるおいです。やっぱり先に薬研呼んでよかった。まだしばらくは短刀勢からいくけど、判断は間違ってなかった。本能(欲望?)の赴くままに薬研に向かって両手を伸ばしたら、口ではそう言いながらもすぐに手を取ってくれて頭なでなでしてくれた。くうっ、よくわかってらっしゃる!さすがは薬研兄さん!
「…いち兄に何かされたのか?」
「えっ、なななんで」
「わかりやすいな大将」
「いや、何かされたというかなんというか」
されたと言えばされたけど!でも別にそんなきっと大したことでもないし、一期さんに他意はないし。しかし敏いですね薬研くん!!
「ふうん…きっといち兄も大将に会えて舞い上がってたんだろうと思うし、許してやってくれや」
「いやそんな許すも何も…怒ってるわけじゃないしね?」
「そうか。ならいいんだが。大将はやっぱりいち兄のこと好きなのか?」
「うえ?!な、なんで?」
「いち兄をよく近侍にしてただろう」
「あー、うん。そうね、好きだよ。でも、みんな好きなんだよ?」
「みんな、か。俺っちもか?」
「勿論!!」
「はは、そうか。そりゃ嬉しいな」
よしよし、と頭を撫でられて、疲れた時とか励ましが欲しい時は絶対に薬研を呼ぼうと決めた。目の前の細腰に抱きつくと、少しだけ薬の匂いがした。さっきは気づかなかったけど、懐とかポケットとかに何か入れてるのかな。それとも怪我してる??
「薬研、薬の匂いがする」
「お、おう。救急用の薬常備してるからな」
「そっか。怪我してるわけじゃないよね?」
「大丈夫だ。…なぁ大将」
「何?」
顔をずらして見上げると、少し赤い顔で見下ろされてた。あ、あれ。この体勢、まずかったかな。と今更ながらに自分も照れてきた。ごめん、なんだか薬研甘えやすくて、無意識だった。
「こういうこと、あんまり他のやつにすんなよ」
「ご、ごめん」
「いや、甘えてくれるのは嬉しいけどな」
離れようと思って体を引いたら、薬研に抱き締め返された。あれ、なんかこれデジャブ。「俺だけにしとけよ」って耳元に落とされて、完全に柄まで通されました。


兄貴ニキニキ。