「おう主!まっこと会いたかったぜよ!」
「陸奥守さんいらっしゃいませ。私もお会いできて嬉しいです」
「なんじゃなんじゃ、そう畏まらんでもおまさんはわしの主やき、もっとどーんとしちょってええんじゃあ!」
「ど、どーん?こうかな?」
「がははは、貫禄はないが可愛らしいのぉ~」
どーんと言われても、と思って腕を組んで胸を張ったら突然頭ぽんぽんされました。いや確かに安直すぎたかもしれないけど…なんか恥ずかしい。
「ごめん、急に言われてもよくわからなくて。えと、ひとまず、敬語じゃなくていいってことだよね?」
「勿論じゃあ。おお、そうじゃ、博多から預かりもんがあったんじゃ」
「博多くん?あ、タブレット」
「おう!こいつぁ、げにまっこと面白いもんじゃのう!わしも何枚か撮らせてもろうたけんど、こんな簡単に写真が撮れるとは驚いたぜよ」
キラキラとした目でタブレットを見つめる陸奥さんは少年のようである。新しいもの好きそうだもんね。しかし、もう戻ってくるとは思わなかったな。ちゃんと撮れてるかな?
「うわっ、すごいいっぱい撮ってある」
「おう、何やらこれ以上は撮れないようじゃったがやき、主に渡してくれと博多が」
「容量は十分あったはずだけど…ほんとに埋まってる。すごい」
ブレたり連写でよくわからない写真も多かったけど(そういえば消し方は教えなかったね…)、みんなの楽しそうな様子がたくさん写っていた。へえ、本丸ってこういう場所もあるんだ。面白い。ふふ、本当にみんな仲いいみたいだな。ムービーもいくつかあるみたいだしあとでじっくり見よう。と、顔を上げたら陸奥さんが斜め後ろから私の手元のタブレットを覗き込んでいるのに気付いた。わ、近い。
「綺麗に撮れてるのぉ~。ええのぉ~」
「あの、データ整理したらみんなにも渡せるようにしようか。あ、でも写真知ってるみたいだし、カメラとかそっちにあるの?」
「それがないんじゃ~。かめら欲しいぜよ~」
「そ、そっか。じゃあ今すぐデータ読みこんじゃうから、一回データ消してこれ本丸に持ってっていいよ」
それでまたデータ溜まったら持ってきてください。って言ったらそれはもう嬉しそうな笑顔が返ってきた。
「ええがか!まっこと恩に着るぜよ~」
「ふふ、ちょっと待っててね」
iM○cに繋いで取り込みを開始すると、また背後から「おお~」と感心したような声が聞こえた。だから、距離近いんですよ陸奥さん。
「主の家は面白いもんがこじゃんとあるの~。おっ、忘れるところじゃった、博多が約束の物が欲しいと言っちょったぜよ」
「あ」
そうだ、これ特別任務で報酬を約束していたんだった。こんなに早く戻ってくると思わなかったから後日用意しようと思ってたんだけど。うちにプリンターないから、コンビニ行ってプリントしてこないといけないんだよね…まあ、コンビニ徒歩1分なんだけど。
「ん~、しょうがない。陸奥さん私ちょっと出てくるから少しお留守番していてください」
「え、今から出かけるがか?どこに行くんじゃ」
「コンビニ…えと、万屋みたいなとこ」
「ほんならわしも行くぜよ!」
「えっ」
「万屋へ一緒に行くのも近侍の務めじゃき」
いやいやいや確かにそうかもしれないけど、それはゲーム内の話でしょ。だいたい徒歩1分とはいえ家の外に出て大丈夫なのかな?
「だーいじょうぶじゃ!」
「いや何その謂れなき自信…わかった。でも一つだけ条件がある。誰かにジャージ借りて着替えて来て」
「ちっくと待っとうせ!」
こうして、急遽陸奥さんとコンビニまで行くことになった。ちなみに陸奥さんは即行でまんばくんにジャージを借りて来た(よく貸してくれたな)。ジャージ姿レアだな。外に出るのが楽しみで仕方ないといった様子で目がキラキラしている。初めて見るもの全てに興奮気味ですけど、少し静かにお願いしますね。結果、コンビニ来ちゃいました。外出大丈夫なんだ。驚きだぜ。
「おお、これがこんびにか」
「好きに見てていいよ。すぐ終わるから待ってて」
「何を買いに来たんじゃ?」
買いに来たって言うか、写真プリントしに来たんだよ。結局陸奥さんは私の背中にぴったりとくっついて来た。なんか大型犬連れてる気分になってきたな。写真プリントを始めると、「おお」とか「すごいぜよ」とこれまた背後から覗いてくる。この距離デフォルトなんだな。ドキドキしてるの私だけですよわかってますよ。
「ほお~写真がこんな簡単にできるとはおそれ入ったぜよ!」
「はは、便利だよね」
「なんじゃ~博多と2人で撮ったがか~ずるいぜよ~」
「え…じゃあ、陸奥さんも撮りましょうか」
「ええがか?!」
「うん。一回外出ようか」
コンビニ内で撮るのは憚られたので一度外に出て、博多くんと同じように2人で並んで自撮りして、すぐにプリントして渡してあげたらそれはもう喜ばれた。そんなに喜んでもらえると嬉しいけど照れちゃうなあ。
「ありがと~な~主。これはわしの宝にするぜよ」
「大袈裟だなぁ。でも、私もこの写真大切にするね」
にこにこ上機嫌な陸奥さんの笑顔を見て、なんだか幸せな気分になった。もっと大騒ぎするかな~と思ったけど、割と常識的で大人な陸奥さんはみんなのいいお兄さんなのかもしれないな。どっかの某本丸でも、引率の先生みたいなことしてたもんな。あ、でもこの写真みんなには内緒だよ??



刀剣~打刀組~陸奥守せんせ~い