「やぁ、初めまして主。昼食持ってきたよ…はは、初対面がこれって、かっこつかないね」
「うわぁ、そんなことないです!嬉しい、ありがとうございます!」
「よかった。あ、ちょっと待っててね」
最高な低音ボイスでカッコよく現れた燭台切さんの手には膳に盛られた一汁三菜が。大丈夫です。十分かっこいいです。しかしご飯おいしそう~豪華~!と思いながらお膳を引き取ったら、燭台切さんは一度引っ込んで、またもう一膳を持って現れた。あれ?何故に二膳?
「僕も一緒に食べて構わないかな?」
「あ、はい、もちろんです」
そ、そうだよね。一人だけ食べるとか、ないよね。うわ、いきなり、ランチデート@マイホームって感じで緊張!いやだって燭台切さんかっこよすぎるよ?どうする?どどどどうする?!
「主?どうしたの?座らないのかい?」
「い、今、えと、お水!用意しますね」
「ありがとう」
はわわわわ、イケボ!これぞまさしくイケボ!!いやあ、顔が熱くなってきた。これ、大丈夫かな。私の心臓ちゃん、大丈夫かな。ひとまず深呼吸して、落ち着こう。
「主?」
「ひゃあっ」
「え、ごめん、どうしたの、大丈夫?」
「す、すみません、びっくりしただけです。ほんとすみません」
いやだっていつの間に背後に立ってるのって感じで、しかもわりと耳元で声かけられるとか、何なのまじで耳が妊娠したらどうしてくれんの。
「ううん、僕もいきなり声かけてごめんね。でも、なんか様子がおかしいかなって思って…」
「すみません、あの、大丈夫なので食べましょう!冷めないうちに!」
ところどころフリーズしたり突然深呼吸しだしたり明らかに挙動不審だよね。うん、燭台切さんは悪くないよ。心配してくれたんだよね。ありがとうございます!いただきます!
「ん!美味しい!」
「ほんと?よかった、口に合ったようで」
「ああ~最高です~。誰かに作ってもらう料理~嬉しい~」
「ふふ、そんなに喜んでもらえて僕も嬉しいよ。歌仙くんにも、主がすごく喜んでたって伝えておくね?」
歌仙と作ったんだ。まぁ、公式?で二人は料理うまい感じだもんね。しかし本当に美味しいな。見た目もきれいだし、二人の性格が表れてるよね~。美味しいご飯は心が和みますな。緊張もほぐれてきた。
「鶴さんが急に主にも持って行ってくれって言うから、大したもの用意できなかったんだけど」
「ええ?十分大したことあるよ!すごく理想的な食事じゃないですか。何より最高に美味しい」
「そう?よかった」
「あ、でも…」
「えっ、何?嫌いなものでもあった?」
「いえ、違うんです。ちょっと量が多いかなって」
しまった。箸をつける前に食べられなさそうな分を取り分けておけばよかった。まぁ、残ったらまた夜にでも食べればいいんだけど。
「え、多い?これでも減らしたんだけどな。普通に盛ったら、薬研くんがね、『大将はこんなに食べられないだろう』って言ってね」
「薬研が?」
「うん。主は女の人なんだから、僕たちと同じように考えたらいけないって」
薬研んんんんんんん!もう、またも柄まで通されたよッ!好き!愛してる!
「ああ、でもそのあと鶴さんが、『主は細すぎるからもっと食わないと』とか言って結局増やしてたんだけど…」
おおおおおい鶴丸さん!何余計なことしてくれちゃってんの!細いのはあなたですよ!ちゃんと食って肥えろ!
「ごめんね。僕もこれくらいならと思って鶴さんのこと止めなかったんだ。残ったら僕が食べるから、気にしないで食べられるところまで食べて?」
「えっ、いえ、残ったら後で自分で食べますから!」
そんな、残飯処理を燭台切さんにやらせるなんてできませんよ?!食べかけだからね!無理!やあああ恥ずかしい!
「そう?」
「はい!むしろ美味しいから全部食べられちゃうかもなぁ~あはは」
「ふふ、無理はしないでね。でも、鶴さんの言う通り主は少し細すぎるから、しっかり食べて栄養つけてね」
体力付けないと風邪ひいちゃうよ?て微笑まれたら、もう食べるしかない。ああ、でも、今の笑顔でお腹いっぱい胸いっぱいです…ごちそうさまでした。結局少し残しました。ごめんなさい。
「もういいの?本当に足りた?うーん、女の子って本当に小食なんだね」
「ははは、そりゃあ、皆さんと比べたら…でしょうね」
「わかった。夕飯はちゃんと適量にするからね」
「えっ、お夕飯もいただけるんですか」
「あ、もしよかったらだけど」
よいですよいです!よいに決まってます!1人暮らしでこんな食事にありつけるなんて、滅多にないんですよ!しかもイケメン付きとかやっぱりお金払いましょうかってレベルなんですよ!ていうか食費払うべきか…でもこっちのお金使えるか怪しいけどね!!課金すればいいならさせていただきますが!
ぜひともお願いします、と言ったら燭台切さんははにかんだ。ううっ、男前のハニカミ顔…ギャップもえ。変な声をあげそうになったのを押しとどめて、後片付けにシンクの前に立つと、燭台切さんが隣に並んだ。洗ったものを引き取って拭いてくれるらしい。まあああああ、さすがですね、よっ伊達男!
「そうだ、主。一つお願いがあるんだけど」
「な、なんですか?」
「僕のこと、光忠って呼んでくれないかな」
「光忠さん?」
え、ああ、はい。それは勿論よいですよ。燭台切って名前、かっこつかないからですか?私はカッコイイと思うけどなぁ。燭台って、もう使わないものだから憧れがあるんですよね。でも全然、いいですよ。実は普段はいつもみっちゃんとか光忠とかも言ってるからね、心の中で。
「うん、呼び捨てでも構わないけし、あの、できれば話し方もフランクにしてほしいかな」
「え?」
「…僕、もっと君と仲良くなりたいんだ」
だめかな、と言われて、ぎゅーんと心臓をわしづかみにされました。少し照れたように指で頬を掻く光忠さん、可愛すぎます。ぷちっと私の中の何かが切れた。
「…わかりました。ううん、わかった。私も、光忠さんと仲良くなりたい。…だから」
「だから…?」
「みっちゃんて呼んでも、いい?」
「っ、う、うん、いいよ!もちろん。嬉しいよ」
「本当?よかった!ありがとう!」
わーい、みっちゃん!某有名バスケ漫画を思い出しますが一気に仲良くなった感じするよね。と喜んでいたのだけど隣のみっちゃんの様子がなんだかおかしいです。そわそわしてるっていうか、なんだろう?どうしたのかなと顔を覗き込むと慌てたようだった。右隣にいたから眼帯と前髪で気づかなかったけど、目元がほんのり赤いような…?
「あの、ごめん主、この後連隊戦また行くよね?」
「え、うん」
「僕いろいろ準備あるから、そろそろ本丸戻るよ。次もつかえてるだろうし。あっ、食器ももらってくね。ありがとう、また呼んでね」
「あ、ちょ、みっちゃ…行っちゃった…」
あの態度は…みっちゃん呼び、本当によかったのだろうか。まぁ、いいと言うのだから、いい…よね。きっと本当に準備に時間がかかるんだよ、みっちゃんは。ほら身だしなみにね、うん。
可愛いものに弱い光忠さん。(この後本丸でむちゃくちゃ悶えた)