「……」
「……」
どうしましょう。さっきから無言の時間が続いています。いや、わかってましたよ、こうなることは。いやしかしどうしましょう。とっても気まずい。むしろよく来てくれたなとか思い始めたよ私。なんだか席を勧められる空気でもなく、2人相対して突っ立ったままです。
「…おい」
「は、はい!」
び、びっくりしたー!あ、声かけてくれた。びっくりしたー。イケメンに無表情で見下ろされるってびびりますね。
「…光忠からの伝言だ。不調というわけではないから、出陣に差支えないと」
「あ、そうですか。じゃあ、出陣お願いしますとお伝え頂けますか」
「…なんで俺が」
「す、すみません。でも、伝言してくださったから」
そのまま返事もお願いしていいのかなって思うじゃん。はっ、そうか、本人の話題ではなく、誰か他の人の話題を振ればいいんだ。いっちょ馴れ合いタイムと洒落込みますか!
「おっ、大倶利伽羅さんて、光忠さんと仲いいんですか?」
「…俺は誰とも慣れ合うつもりはない」
「で、でも伝言頼まれるくらいだし」
「……どうせアンタと話す話題もないだろうからってアイツが無理やり言づけてきただけだ」
わーっ、みっちゃんありがとう!めちゃ気が利く!さすが伊達男!すてき!惚れる!しかし律儀にちゃんと伝えてくれる大倶利伽羅さんて…やっぱり本当は優しいのですかな?ぷいとそっぽを向く仕草がなんとなく可愛く見えてきた。
「あれ?でも鶯丸さんに頼んだ伝言なのに返答早かったですね」
「…アイツは今、向こうに待機している」
「え?」
「カステラを用意したのはアイツだ。皿を回収するのもアイツだ」
なるほど、それですぐ近くにいたってことか。納得。
「あっ、大倶利伽羅さんから見て、光忠さんおかしくなかったですか?」
「は?」
「あー、言い方がよくなかったです。えと、此処から帰る時なんだかすごい慌てていて。鶯丸さんに聞いたら、本丸戻って来た時は顔が真っ赤だったって。だから具合でも悪いのかなって思ったんですけど違うみたいだったから」
「ああ…別に。アンタが気にすることではない」
「えっ、なんですか!何か心当たりが?」
「…アイツは小さくて可愛いものに弱い。それだけだ」
んん?よくわかりませんね?と首を傾げたら、ぽんって頭に大きな手が乗った。……んん?
「あいつは今花が舞っている…それでいいだろう」
「え、はい、ひとまず元気ならそれで…」
あれ。私今大倶利伽羅さんと慣れ合えているのではないですかね。頭ぽん、て、私の方がお花舞いそうですよ。はぁ、素敵な腕ですね~いい感じに血管浮いてますわ~ああ~触りたい~と見上げる私の視線に気づいたのか大倶利伽羅さんはハッと手をどかしましたが、ふふふ、なんとなくわかってきましたよあなたのことが。
「大倶利伽羅さん」
「……なんだ」
「ふふ、いつもありがとうございます」
「何がだ」
「出陣とか、内番とか、本丸でのいろいろ」
「…別に」
ねえ、慣れ合わないとか言ってる割に、ちゃんと全部返事してくれてるの気づいてます?疑問にもちゃんと答えてくれてるのわかってます??無視しないでくれるのって、優しいよね!
「言いたいことはそれだけか。俺はもう戻る」
「えっ、もうですか?」
「…連隊戦行くんだろ」
くるりと背を向けた彼の上着を思わず引っぱったら、困惑した顔で振り向かれた。いや、確かに連隊戦進めたいんですけど、まだ全然話せてないよ?みんなよりめちゃ短いよ?困惑した顔もカッコイイよ?もうこれだから伊達は!
「また来てくださいね」
「…アンタが俺を近侍にする気があるならな」
「ありますよ!」
そりゃああんまり近侍にしてないかもだけど全然してないわけでもないし、むしろあなたがそういうの嫌そうだからしてなかったんだからね?(八つ当たり)
「好きにすればいいだろう」
「はい、好きにします。だから、ちゃんと来てね?」
「っ、……ああ」
「わっ、なんですか!」
去り際にめっちゃ頭わしゃわしゃされた。なんだよう、笑顔でお見送りしただけなのに…あ、照れ隠しかな?(ニヤニヤ)
伊達組は小さくて可愛いものに弱い。