「お待たせ~!お待ちかねの綺麗な次郎さんだよ~」
「いらっしゃいませ次郎ちゃん~!わー、ほんと綺麗~」
「嬉しいこと言ってくれるね!ははぁ、こりゃ確かに。あの兄貴が言うのもわかるねぇ」
「え?」
こっちの話さ!と笑う次郎ちゃんは太郎さんに引き続き迫力美人です!でかいけど!ていうかやっぱりお酒の匂いしますけど、飲んでましたね??いいなぁ、昼間っから!
「お!主はいける口かい?じゃあ飲もう飲もう!」
「えー、いいのかなぁ。まだ全員に会ってないのに」
「弱いの?すぐ顔に出るとか?」
「全然。むしろ顔に出なさすぎて延々と飲まされるタイプです」
じゃあいいじゃん!飲も飲も!という神のお告げに逆らうことができようか。いやできまい。次郎ちゃんが飲んでるお酒ってどんなのか気になってたし、ちょっとくらいなら大丈夫だよね?と、愛用のおちょこ二つをいそいそ取り出した。次郎ちゃんがお酒を注いでいる間に、冷蔵庫から自家製の漬物を出して小皿に盛る。だって、ほら、空きっ腹にはよくないよね?じゃあ、かんぱーい!となって、一口飲んだらそらもう美味しいお酒だった。さすが、いいお酒飲んでますね。キリッと辛口で、大変好みであります。ごちそうさまです。
「何々、恋愛に悩んでるんだって?」
「あ、太郎さんから聞いたの?」
「そ!自分じゃ力になれないからアタシが聞いてやってくれってさ」
「う、うん。でも、そんな大したことでもないから」
「なーに、次郎さんに言ってみなさい!ね!」
そ、そうですか?お酒飲みながら恋愛相談とか、この状況完全に女子会ですね。大変話しやすいです。では遠慮なく。モテるにはどうしたら良いですか。
「はぁ?!何言ってんのよ、モテるでしょ」
「え?いや、そんなことないよ」
「ええ~、こーんな可愛い子放っといて、現世の男どもは一体何をしているのかねぇ。もう、いいなと思った男には自分からいっちゃいな!」
「ええ?ううーん、いいなと思う人もあんまりできなくてですね」
「それだ。主、アンタがそんなだから男も声かけらんないのさ」
え。どういうことですか。興味がなさそうな相手にグイグイいけない?確かに、そうかも…そうか。問題は自分にあったのか。
「いや、それが悪いことってわけじゃないんだよ?自分を安売りする必要は全くないし。でもね~、隙は作らなくちゃね~。って言っても、そういう隙はありそうなんだけどね~。うーん、そもそも主はどういう男が好みなのさ。一期一振?」
「ちょ、なんでそこで一期さんが出てくるんですか!」
びっくりしたよ!え?近侍によくなってたから?そりゃあ、好みか好みじゃないかって言ったらどストライクで好みですけど。でもひとつ言わせてもらいますがね。
「現世にあんないい男早々いないからね!」
「まぁ、そうだろうね。アタシらやっぱり人間とは違うし。で、一期のどういうところが好きなのさ」
「え、え?それは、その、優しいし、でも叱るところはちゃんと叱ってくれそうだし、お兄ちゃん気質なところとか、物腰が柔らかいところとか、でもちゃんと男らしいところとかかっこいいし…」
お酒入っているせいで口が勝手に回ります。ああー、言えば言うほど一期さんていい男だわぁ。次郎ちゃんは何やらニヤニヤと私を見ています。ああ、面白がられてる。
「アンタそれ一期に言ってやんな。相当喜ぶよ」
「言えるわけないじゃん!さっきだってまともに話できてないのに、そんな」
「かーわいいなぁ!んもー、嫉妬しちゃうねぇ」
「え?」
「だから、一期一振が羨ましいって言ってんの。主にそんな風に思われててさ」
「そんな風にって…私、次郎ちゃんも好きだよ」
「え」
豪快で明るいところとか、美人だけど、誰よりも男らしいところとかかっこいいなって思うし。なんか次郎ちゃん見てると元気になるし!実際に会ってこうやって話せて、やっぱり気さくで、もはや気が置けない相手って感じで、次郎ちゃんにはなんでも話せちゃう気がするなぁ。え、あれ?次郎ちゃんどうしたの顔が赤い?
「はあぁぁぁぁ。アンタねぇ」
「う、うん」
「…いや、アンタ兄貴に似てるわ」
「え?ええ?太郎さんに?えええ?」
どういうところがですか!太郎さんでしょ?うーん、うーん、よくわからないです。
「いいよ、わかんなくて。それがアンタの魅力のひとつってことさ。ああー、一期にやるのはもったいない!うん、決めた。アンタ現世で貰い手みつかんなかったら、うちの子になりな。アタシが責任持ってもらってあげるからね!」
「え、うん、えええ?」
そんなことができるのでしょうか。いや、うん、現世にまだ期待を持とう。うん。
「ま、心配しなくてもできる時にはできるし、あんまり深刻に考えないこったね」
「そうかー、そうだよね。悩んだところですぐ解決するもんでもないしね」
「そうそう!悩んでる暇あったらアタシと飲もう!」
「わあ、次郎ちゃん重いっ」
ごめんごめんと笑いながらも肩を抱いてくる手を離さない次郎ちゃんは、美人だけど男の人の香りがしてドキッとしてしまった。…さっきのあれ、本気だったらどうしよう。いや、だから現世にまだ期待捨ててないから。うん。


次郎ちゃんも、男です。