名残惜しいけれど時間もないので(連隊戦も進めたいので)次の方と交代してもらうため蛍ちゃんには一度本丸にお戻りいただいた。しかし、編成画面を開いたはいいものの中々次のクリックが出来ずにいた。
何故なら。次の御方は、私の一番推しのあの方だからだ。いや、割とみんな平等に好きなんだけど、強いて一番をつけるなら誰と聞かれたらたぶんこの方なのだ。だめだ、先にトイレ済ませておこう。化粧崩れてないかな。岩融と話した時泣いたからその後チェックしたけどもう一回しておこう。蛍ちゃんにいい匂いと言われたし、匂いはおそらく大丈夫。さて、あまり時間があるわけでもない(何度も言うけど連隊戦がある)し、さっさとお迎えしようそうしよう。ええいままよ!と勢いよくタップし、本丸に戻る。でも正面切って見ていられる自信もなかったので何故か正座でちょっと俯き気味で待っていると、「失礼いたします」という声が聴こえてなんか思考が停止した。
「主、一期一振です。お会いできて光栄です」
「わ、私の方こそ、お、お会いできて身に余る光栄でございます」
「あ、主、顔をお上げください」
むり、あげられない。あげられなくて頭下げたのにあげてくださいと言われたからってあげられるわけがない。気配で一期一振が目の前に膝をついたのがわかった。目だけちょっと見あげると、彼の膝と白い手袋に包まれた大きな手が見えた。うっ、手大きい。白手袋反則。
「私に頭を下げる必要はないのですよ、主」
「だめ、むり、直視できないのです」
「な、何故です」
「好き過ぎてやばいのです」
「は、はい?」
あ、しまった本音がぽろり。
「すみません、聞かなかったことにしてください」
「…それはできませんな」
「え?」
想定外のことを言われて力が抜けたところで肩を掴まれて(ちゃんと「失礼します」って一期は一言添えたんだけどこういうところがもおおおおお好き!)上半身を起こされて、強制的にハイこんにちは~。ひょえああああああううううるわしいいいいいい!目が!目がああああああああ!
「そのような嬉しいお言葉、聞かなかったことにするのは勿体無いですので」
「そそそそそそそうですか」
「さぁ、いつまでもそのままでは冷えますよ。椅子におかけ下さい」
「は、はい」
ナチュラルに手を取られてエスコートされつつすぐ脇のダイニングテーブルの椅子に腰かけた。はぁ、なんとなくひと息。おかしいな、ここ私の家なのになぁ。一期一振は向かいの席に座るのかと思いきや何故か私の傍に膝をついた。な、なぜ!くぅっ!様になりすぎかっこよすぎなんなのもはや凶器…あ、刀だから凶器なんだった…!
「主」
「は、はい!」
「こうして肉体を得て弟たちと再会し、共に戦うことができ、これ以上の幸せはないと思っておりましたが…あなたに直接お会いし更にはあのような嬉しいお言葉を賜ることができるとは…最上の喜びです」
「そ、そんな」
「この一期一振、いかなる最期を迎えようとも、この刃折れぬ限りこれからも誠心誠意、貴女にお仕えさせて頂きます」
王子です。王子がいます。ロイヤルです。まごう事なきロイヤルです。夢オチだってかまわない。生きててよかった神様ありがとう。胸に手を当てて少し頭を下げる仕草が、かっこよすぎてもうお腹いっぱい胸いっぱい。
「あ、主?何故泣いていらっしゃるのですか?私は何か悪いことでも」
「ちっ、違います!一期さんは何も悪くないです!その、あの、感動して!嬉しくて!」
「感動、ですか。そうですね、私も今感無量です。貴女にそれほど喜んでいただけるなんて」
「あっ、やだやだ見ないでください!ぶさいくだから!」
「そんな、不細工な訳がありません。主はとても美しいですよ」
あー!もう!天国かな!?ここはもう天国だったのかな?!一期さんに顔を隠そうとした両手を取られて、とてつもなく優しい微笑みで見下ろされていますよ!はあ~!眼福~!いい人生だったなぁ!
「涙、止まりませんね。ああ、嬉し泣きとはいえ、泣かせたいつもりではなかったのですが…」
「ひえっ」
「あ、申し訳ございません。…あまりに美しかったので、つい」
引き寄せられてしまいました、って、ど、どういことなの。つい、で涙吸う?!つまり目尻にちゅう!うえー!どどどどういうことなの!涙とはしょっぱいものなのですね、とか言って笑ってますけど、えっ、びっくりしすぎて涙止まったわ!
「あ、止まりましたね」
「と、止まりました」
ついでに心臓も止まりかけました。ってことはまだ生きてるな私。ここは天国でも夢の世界でもないみたいです。


はてさて素なのか、計算なのか。