「初めまして!いらっしゃい~。わー、虎くん!可愛い!触れる?触ってもいい?大丈夫?」
「は、はい、大丈夫だと思います。あの、どうぞ」
そう言って五虎退は抱えていた一匹を私の前に差し出した。虎くんはきょとんと首を傾げている。可愛すぎる。かわいすぎるうううう。
「わー、ふかふか…かわいい…もふもふ」
「あ、あるじさまは虎お好きなんですか?」
「うん、好き。大好き」
本気で虎は好きな動物上位なんだ。だってこのぽてっとした足たまらん。子虎なんて世界一可愛い生物じゃないだろうかまじで。と、虎くんが大人しいことをいいことにもふりまくっていたら、五虎退がとても嬉しそうにニコニコしているのに気づいた。
「ごこちゃん?」
「あの、嬉しいです。虎くんも、喜んでいます!」
うん、虎くんも可愛いけどね、五虎退も負けず劣らず可愛いです。何もうほんと短刀って天使しかいない。
「ごこちゃん」
「は、はい」
「ごこちゃんもなでなでしていいですか」
「えっ、は、はい」
何故かぴしっと姿勢を正した五虎退ですが、良いと言うので遠慮なくなでなでさせて頂こうかと思います。うわぁ、髪ふわふわ。ちょっぴり照れたようにはにかむ様も美少女と見紛うほどの可愛さです。これたぶん私桜舞ってる。見えない桜が舞ってる…!
「あるじさまの手、あたたかいです」
「うん」
「あるじさまが優しい方でよかった…」
えっ、涙目?!なんか泣かせた?!と思ってわたわたしたけど、私みたいに感動して泣いているらしかった。はぁ~もう~かわいすぎか~。
「す、すみません泣いたりして!」
「ううん、その気持ちわかる。私も泣いたから大丈夫」
「え、そ、そうなんですか?」
うん、そのせいであなたのお兄様にすごいことされたんだけどね。あ、でも五虎退見てたら一期さんの気持ちが少しわかってしまった。確かに、泣いてる子みたら慰めてあげたくなるし涙ぬぐってあげたくなるね。でもやっぱり初対面でいきなりちゅーはしないけどね。ちゃんと思いとどまりますよ。大人ですからね。いや一期さんの方が遙かに年上なんだけどもさ、やっぱり付喪神だし、ちょっと人とはずれてるんだろうな。あれ、それかもしかして私猫か虎か狐かと同列なのでは。動物相手だったらちゅーするかもしれん。あ、あれれ。
「えへへ、あるじさまとおんなじって、なんだか嬉しいです」
「あ、うん…あれ?虎くんたちは?」
「あ、あれ?虎くんたちがいません!」
「まあ大丈夫、うち狭いからすぐ見つかるよ」
私たちの会話に飽きたのか、気づけば5匹の虎はどこかへ行ってしまっていた。かといって窓を開けているわけでもないし、室内にいるはずなので慌てる必要はない。少し見渡せばソファに2匹と、椅子の上に1匹が丸まっていた。さて、あとの2匹はどこかなぁ~と大して広くないというより狭い我が家を探検たんけん。短剣(刀)だけに…お後がよろしいようで。
「あ、こんなとこにいた」
「こ、此処ってあるじさまの御寝所ですか?」
「そう。ふふ、ベッドが気に入っちゃったかな?」
「わーっ、虎くんたちダメです!あるじさまのお布団に乗っちゃダメです!」
寝室のドアが少し開いていてもしかしたらと覗いたら案の定残りの2匹がベッドの上で寝ていた。ついてきた3匹も止める暇なくベッドに乗ってじゃれ始める。実家の猫を思い出すな。五虎退はあわあわとベッドに駆け寄るけど、別にいいよ~。
「なんなら一緒に寝ようか?」
「ええっ、それは、ずるいです…僕もあるじさまと一緒に寝たいです」
「えっ、あ、そう?じゃあ…また今度、ゆっくり時間ある時にでもお昼寝しよっか」
「はい!えへへ、あるじさまとお昼寝…楽しみです」
うん、すごい、楽しみです。いい夢見られそうだしそのまま天国に連れて行ってもらえそうです。あ、本物の天使ではなかったか。
今すぐお昼寝したい。