「うぃ~、あんたが主かぁ?」
「あらー、不動くん。初めまして」
小さな酔っ払いがやってきました。不動くんは私を頭のてっぺんから足の先までじろじろ見たかと思ったらドサッと椅子に座った。
「こんなダメ刀呼んでどーしよって言うんだ~?」
「え?」
「日頃の説教か?それともダメ刀の顔を見てみたかったとか、そういう理由か?」
「違うよ」
そういうんじゃないし、そもそも不動くんはダメ刀なんかじゃない。
ちゃんと戦ってくれて、ちゃんとめきめき強くなってくれてる、大事な大事な本丸(うち)の刀だよ。
「ひっく…別に、お世辞とかいらねぇんだけど」
「お世辞じゃないんだけどなぁ」
どう言ったらわかってくれるのかなぁ。愛を返せなかったって言うけど、十分返してると思うんだけどなぁ。
「あんたに何がわかんだよ」
「…そうだね、わからないことだらけだよ。だから知りたいと思う」
「え」
「ダメ刀って思う理由をちゃんと教えてほしい。誰かにそう言われたの?ただ自分でそう思ってるだけじゃないの?」
「そうだよ。俺は元の主にもらった愛を、同じだけ返せなかった。守れなかった。だから自分が許せねぇ」
自分のことが信じられない、許せないってすごく苦しい。それは、私自身にも言えることだ。
昔むかし、誰かに否定されたことがずっと忘れられなくて、尾を引いていて、自分自身を卑下してしまう。
私はダメな人間なんだって、だからうまくいかないんだって思ってしまうこともある。
本当は、自分のことを信じたいのに。ダメだなんて思いたくないのに。辛い。とても辛い。
辛いから、逃げてるんだよね?お酒を飲んで、忘れようとしているんだよね?でも、もともと不動くんは何も悪くないのに。
誰も悪くなんてないのに。
「私が言っても意味ないかもしれない。伝わらないかもしれない。だから、昔のことは言わない。でも、今私は不動くんにすごく助けてもらってるし、不動くんを頼りにしてることは本当だから」
「……」
「だからね、そんなに自分のこと、ダメだって否定しないであげて」
「……」
「不動くんにもいっぱいいいところがあるよ」
「……」
「よし、飲むか!」
「なんでだよ!」
あ、やっと反応した。ごめん寝てるのかと思った←
うそうそ、なんか湿っぽくなっちゃったから気分変えようかと思っただけなんだよ~。私もお酒の力を借りようとかそんなこと思ってないよ~?
「…なぁ主」
「ん?」
「俺けっこー強くなったじゃんか」
「そうだね!」
「あー…連隊戦終わったらでいーからさ」
「うん」
「しゅ、修行、行かせてくれよ」
「!」
こ、これは!いい傾向では!不動くんの極ってなんかいろいろアレだって聞くし!(ネタバレ嫌でちゃんと見てないけど!)
「う、うん!いいよ!」
「ん…あんがとな」
いやーん、可愛い~不動くん照れてる可愛い~~~。ていうかも~うちの子みんな可愛すぎて主は幸せですよ!!
ぽん、と肩に手を置くと不思議そうに見上げてきた不動くんは一瞬後にぎょっとした顔をした。
え、ちょっと傷つくな~その表情~。
「あ、主なんで泣いてんだ」
「おれは今猛烈に感動している」
「は?」
「失礼、主は今猛烈に幸せです」
「はぁ…?」
いやごめん、気にしないでくれたまえ。変な主でゴメンな…ごめんな…
不動くんは訝しがりながらも気にしないでくれることにしてくれたようだ。ありがとう。
「まー、あんたが幸せなら、俺はそれでいいけど」
「ンンッ」



短刀はやっぱり天使しかいません。